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【無料公開】吉田麻也「中澤選手の見えない背中を追い続けた」 アジアカップ トルクメニスタン戦前日会見(2019年1月8日@アブダビ)

<登壇者>

日本代表 森保一監督&吉田麻也選手

森保 アジアカップ初戦に向けて、選手もスタッフも日々できること最善の準備をしてくれたと思っています。

吉田 (英語で)4年前のオーストラリアでは失望する結果に終わりました。ロシアでのワールドカップを得て、新しいチーム、新しい監督で臨む今大会は、トーナメントを含めて楽しみたい。そしてタイトルを獲得したいと思います。

──今日、中澤選手と楢崎選手の引退発表があった。彼らへの言葉と、現日本代表として今大会に臨む意気込みを教えてほしい。

吉田 楢崎選手に関しては、個人的にもずっと憧れてきて、背中を置い続けた選手です。中澤選手に関しても、(彼が)代表を去ってから同じ22番を引き継いで、ずっと背中を追いかけてきました。正直、見えない背中を追いかけている感覚でした。もちろん試合数もゴール数も、まだまだ中澤選手に追いつけていないですが。

 とにかく、長い間お疲れ様でしたということと、これから日本のサッカーに貢献していただきたいと思います。さっきも監督と話したんですが、JFAもそのキャリアを讃えて、今後のセカンドキャリアをサポートしてほしいと思います。

(先に引退した)川口選手にも言えることですが、日本サッカーに貢献してきた選手に対して、サッカー界全体としてリスペクトすべきかなと。まずはお疲れ様でしたということと、またこれから日本サッカーを一緒に成長させていければいいなと思います。

──先ほどコメントしたように、4年前はしょっぱい終わり方だったが、今回はどんな大会にしたいか?

吉田 ワールドカップと違って、アジアの中で勝たないといけないという状況というのは、また違ったプレッシャーがあると思います。その期待の中で勝ち上がれるか、優勝できるかどうかというのが1つ。それから新しいチームが立ち上がって、これからまたアジアの予選を戦い抜く、もう一回ワールドカップで結果を残す。そのためのベースとなる部分を作り上げることが1つ。

 その2つが大きなカギになると思っていますし、今までの日本代表の選手たちが作り上げてきたものを、新しい若い日本代表が誇りや責任といったものを新たに背負って戦う場だと思うので。その意味でも、この大会は非常に大きな場になると思います。

──トルクメニスタン、オマーン、ウズベキスタンと戦うグループステージについて。(海外メディア)

吉田 ランキングで見たら日本より下のチームですが、大会が始まってオーストラリアやタイが負けて、韓国も(フィリピンに)大勝したわけではない。その意味では、どんなトーナメントも初戦は大切。ワールドカップと同じで、まずは初戦にしっかり勝つことが一番大事だと思います。さっきも言いましたように、(ワールドカップ)予選を通してチームが成長しないといけないし、より成熟して、そのあとも戦えるように、このグループリーグを確実に突破できるようにしたいです。

──期待はプレッシャーにもなるが、若い選手がプレッシャーを力に変えるようにベテランとしてどうアプローチしていくのか?

吉田 「期待=プレッシャー」に変わる可能性がありますが、そのプレッシャーの中で戦えるようにならないと、アジアの予選でもワールドカップでも、あるいは個々の選手のキャリアでも戦っていけなくなると思います。やっぱり、こういうプレッシャーのあるところで戦って、自分を成長させることが若い選手には大事だと思います。

 多くの選手が、欧州で活躍したいと思っているので、その意味でもこのプレッシャーに勝てるようにならないと、次のステップを踏むことはできないので。あえて「期待」という言葉を多く使っていますし、その期待の中で結果を出す難しさというものも、この大会を通じて克服することが、日本サッカーの次のステップかなと思います。もちろん、僕も含めた経験のある選手は、うまくサポートしながら大会を戦っていきたいと思います。

<吉田選手退席>

──初戦に向けてのプレッシャーについて。(海外メディア)

森保 先ほど吉田も言ったとおり、オーストラリアが初戦で敗れたり、タイがインドに敗れたり、韓国もフィリピン相手に10という難しい試合をわれわれは見てきています。どの対戦相手も、力があるからこそアジアカップに出場していると思いますし、われわれはどのチームと戦う時も、厳しい戦いを覚悟しながら準備をしていかないといけないと思っています。大切なことは、相手をリスペクトしつつ、われわれがその試合で100%の力を出せるよう準備することだと思います。

──本田圭佑はなぜ呼ばないのか?(海外メディア)

森保 彼が日本サッカー界にとって、偉大な選手であることに変わりがないことは、オーストラリアでもプレーで示していると思います。ただ彼自身に、代表でのプレーというものを考えていないと思っていますので、今の日本代表でプレーすることは現実的ではないと思っています。

──今大会を前に世代交代したことでのリスクをどう考えるか。(海外メディア)

森保 これまでの日本代表のことを考えたり、去年のロシアでの日本代表を考えたときに、私が監督になって経験の浅い選手の多くが日本代表としてプレーすることになったと思います。まずは、ベテランの選手をここで切り捨てて、新しい日本代表を作るということではなく、すべての選手、経験のあるなしに関係なく日本代表としての選択肢であると思ってチーム作りをしています。

 そこで若い選手たち、経験の浅い選手に経験してもらって、日本サッカー全体のレベルアップをしていかないといけないと思っています。これまで経験の浅かった選手たちが、自分の道を新たに切り開いて、ステップアップしていく意気込みをもってプレーしてもらいたいと思いますし、彼らがこの大会を通してステップアップすることで、日本サッカー全体のレベルアップとなることを期待しています。

──選手全員が揃ったのが6日で、コンディションや連携面で不満があると思うが、初戦ではどういう基準で選手を選ぶのか。

森保 国内キャンプからアジアカップに向けて準備してきましたが、怪我人などのアクシデントもありましたし、全体練習できた時間が満足できるものだったかというと、もっと時間があればとも思っていました。与えられた時間の中で、いろんなことを考えて最善のことはやってくれたと思っています。

 全体的に、もっと練習できればという部分はありますけど、選手にリフレッシュしてもらうことが練習よりも効果のあることだったり。そういうことをメディカル、そしてコーチングスタッフ、チームとして考えてやってきました。ひとつひとつ説明したいところですけど、考えることは多くありますので、多くの判断の中で最善のことをということで進めてきました。選手を選ぶ判断材料としても、まずコンディションのところはひとつ重要なかと思っています。

<この稿、了>

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