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【無料公開】森保監督「日本のほうが臨機応変に対応できていたと思う」  アジアカップ サウジアラビア戦会見(2019年1月21日@シャルジャ)

 <登壇者>

日本代表 森保一監督

森保 まずは、ノックアウトステージに勝つことが非常に大切だと思います。その中で、アジアでもトップクラスの強敵であるサウジアラビアに、選手たちが粘り強くタフに戦ってくれて無失点に抑えて勝つことできてよかったと思っています。(準々決勝は)中2日での戦いになりますが、相手よりも準備と回復の期間が短い中、われわれは最善の準備ができればと思います。

──今日はサウジアラビアがいいプレーをしていていたように思う。日本はグループステージよりも力を出せてなかったのではないか?(外国人記者)

森保 サウジアラビアが非常に力のあるチームだということ。そこは彼らをリスペクトしなければならないと思います。われわれはもっと攻撃を仕掛けるという部分、ボールを保持するところができればよかったと思いますが、先制して相手が押し込む状況の中、粘り強く無失点に抑えながら追加点を取りに行く。そこは試合の流れとしてノーマルな部分だと思います。今日の結果として、戦いの流れで粘り強く戦うことがトーナメントで必要ということを、選手がやってくれたことをポジティブに捉えつつ、さらに攻撃の部分もできればと思います。

──準々決勝でベトナムと対戦するが、ベトナムの守備的なスタイルについてどう思うか?(ベトナム人記者)

森保 ベトナムがしっかりした粘り強い守備から、攻撃に転じることができるチームであること。監督がアンダー世代とA代表の兼任で、カテゴリーを問わず戦い方が統一されている強みがあると思っています。しかしながら守備だけでなく、攻撃にもいい選手がいますし、そこはベトナムの堅守を崩すとともに、われわれも固い守備からしっかりした攻撃につなげられるように準備しなければならないと思います。

──グループステージの3試合と比べて、コンディションはさらに上がったと感じるか?

森保 コンディション的にはチームとして上がっていると思っています。試合を観られて、攻撃の部分で「もっとできる」という見方もあったと思いますが、コンディションが上がってきているからこそ、あれだけ押し込まれても粘り強い守備ができたのかなと思っています。

──試合のゲームプランとして、相手がボールを持てるチームであることはスカウティング済みだったと思うが、あれだけ押し込まれて守備に回ることは想定していたのか。それとも、もう少し攻めに出たかったのか。それからセットプレーでの得点は狙い通りか?

森保 試合の入りを振り返っていただければ、われわれがどういう戦いをしたかったか見えてくると思います。相手にプレッシャーをかけてボールを運ぶというところ。ディフェンスもアグレッシブにプレッシャーをかけるところ。選手たちはいい入りしてくれたと思いますが、サウジアラビアの攻撃を受ける形になってしまったと思います。サウジアラビアが、ボールを保持しながら危険な攻撃ができることは、スカウティングでわかっていましたし、そこを上手く対応しながら攻撃につなげられるようにできればと思っていました。

 特に先制点を奪ってから、彼らが圧力をかけてきた時に、後半はなかなか形にはできなかったかもしれないですが、奪って展開してサイドからクロス。あるいはボールを奪って素早い攻撃を仕掛けるというところ。前半もありましたし、後半も多くなかったですが、リードしてからの戦い方というところは、ゲームプランかどうかはわからないですけど、選手たちが表現してくれたかなと思います。

 少し守る時間が長かった部分はありましたが、逆にこれまで攻撃的に試合を進めていくということをやって来たところで、選手たちが粘り強く無失点に抑えながら戦ったことについては、ひとつ試合のオプションができたということでポジティブに考えていきたいと思います。セットプレーのところは、キッカーがいいボールを蹴って、中の入り方がよかったということで、すみません、よろしくお願いします(笑)。

──ベトナムと対戦する時に注意すべき点は?(韓国人記者)

森保 ベトナムは非常に堅い守備をして、攻撃を仕掛けてくるチームだと思っています。攻撃の部分で我慢強く、忍耐強くボールを動かしたり、相手を崩すための攻撃を仕掛けたりということを考えないといけないと思っています。そして先ほども言いましたけれど、彼らは守備だけでなく攻撃でもいいタレントがいるので、攻撃のタレントに仕事をさせないように。われわれも攻撃だけを考えるのでなく、いい守備をして今日のように無失点で抑えながら、しっかりと攻撃を仕掛けることをやっていければと思います。

──南野を入れて伊東を下げたときに、堂安のポジションを中央に移動させた意図と効果を教えてほしい。

森保 意図としては、南野が攻守ともに運動量が多く走っていて疲労が見えたということで、伊東純也を入れようと思いました。堂安をトップ下にしたのは、彼のところで攻撃の起点を作るというところ。守備の部分も中央から貢献してほしいということで、交代のときにポジションを替えました。

 効果としては、堂安のところでカウンターのチャンスができたり、タメができたりという部分で、最後に仕留めるというところまではいかなかったですけど、守から攻への起点になるプレー、そして伊東純也にも守備からスピードに乗って攻撃に絡むことをやってもらおうと思っていました。

──今日のサウジアラビアは、いいプレーを見せた時間もあったが、勝ったのは日本だった。戦術的に日本が勝利したポイントは何だったと考えるか?(外国人記者)

森保 勝ち上がるポイントですが、サウジアラビアは攻守ともにアグレッシブで、いいチームであると何度も話しています。そこは試合前に選手にも話しましたし、これまで以上に厳しい戦いになることを覚悟して臨みました。

 勝負を分けたポイントとしては、サウジアラビアは先に失点することを考えていなかったし、われわれもそう考えていました。その中で、われわれは先にセットプレーで得点することができて、サウジアラビアが攻撃の圧力をかけてきて、われわれの守備の時間が長くなるところ。本来であれば、ボールを握って試合を展開したいというのが、両チームの狙いだったと思いますが、展開のなかで試合の流れに臨機応変に対応するところでは、日本のほうができていたのかなとは思います。

<この稿、了>

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