宇都宮徹壱ウェブマガジン

わが平成史 写真とフットボールを巡って ネットメディアというフロンティア(平成12年/2000年)

 フランスで人生初めてのワールドカップを経験し、初めての著書『幻のサッカー王国 スタジアムから見た解体国家ユーゴスラヴィア』を上梓し、ネット上で『モノクロームの冒険』というフォトエッセイの連載を初めて持たせてもらってから2年が過ぎた、2000年(平成12年)。世の中は「ミレニアム」と「2000年問題」で大騒ぎになっていたが、私自身は練馬の実家で静かな正月を迎えたように記憶している。

 この2年間は、相も変わらぬ貧乏暮らし。それまでに書籍を2冊出していたものの、写真家としてもノンフィクションライターとしても大きな仕事の依頼はなく、細かい仕事をこなしながらアルバイトで糊口をしのぐ日々であった。ある程度の取材費が溜まったら、旧ユーゴ諸国をはじめヨーロッパの国々を取材する日々。とはいえ、発表する媒体も極めて限られていたから、生活が安定する気配は微塵もなく、間もなく私は34歳の誕生日を迎えようとしていた。

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