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ポジティブに評価できた準決勝までの日本代表 河治良幸✕宇都宮徹壱アジアカップ総括<2/2>

ポジティブに評価できた準決勝までの日本代表 河治良幸✕宇都宮徹壱アジアカップ総括<1/2>

なぜ青山をあえて招集し、北川の起用にこだわったのか?

──ここからは、日本代表に話題を移しましょう。今回のメンバーで、2大会ぶりに決勝に進出したことは、大いに評価すべきことだと思います。ただグループステージの3試合は、いずれもヒヤヒヤの展開でした。初戦にある程度苦しむのは想定内でしたが、まさかトルクメニスタンに2失点も喫するとは思わなかった(苦笑)。

河治 初戦からフルスロットルで行くのではなく、あえてロースタートでしたよね。そうなるだろうな、というのは国内キャンプを取材している時から感じていて、「これは明らかに準決勝あたりをピークに考えているんだろうなと。

──そこから逆算しての、初戦の低調ぶりだったと。とはいえ、さじ加減は難しかったと思います。初戦からピークに持っていくとあとが続かないし、それでも勝っておきたいから、怪我を抱えていた大迫勇也を最後まで引っ張らざるを得なかったという。

河治 そこはワールドカップとの最大の違いですよね。ワールドカップだったら、そんなことを考える余裕はないですよ。いきなり相手がコロンビアだし(苦笑)。

──初戦に関して、もうひとつ疑問だったのが、冨安のボランチ起用です。確かに遠藤は発熱で使えなかったけれども、あの時は青山敏弘もいたわけだし、塩谷司でも良かったかもしれない。

河治 僕は、あそこで冨安をボランチに起用することで、その後の緊急事態に対応できる準備をしていたのかなって思っています。結局、冨安はセンターバックで活躍したので、ボランチのバックアップは塩谷になりましたけど、塩谷があそこまでボランチができると森保さんは思っていなかったかもしれない。実際、所属するアル・アインでは左サイドバックで起用されることが多かったわけですし。

──なるほど。遠藤が病み上がりの状況で、青山も怪我のリスクがある。7試合を戦うことを考えるなら冨安をボランチに、そしてセンターバックに槙野智章や三浦弦太が起用される可能性もあったわけですね。そういえば青山はラウンド16が終わって、チームを離脱することになりましたけど、本当に今回はボランチの負傷離脱が続きましたね。

河治 森保さんの選手選考で、議論の余地があるとしたら青山ですよね。もともと彼は怪我明けだったわけで、パフォーマンスだけで判断するんだったら「絶対に青山」というわけでもなかったと思います。

──やっぱり森保さんは、一番の理解者がそばにいてほしかったんじゃないですか?

河治 それはあったかもしれない。今回は三竿健斗も怪我だったけれど、だったら大島僚太もいるし、ちょっとタイプは違うけれど天野純もいるわけだし。大島も怪我のリスクがありますけど、直近のワールドカップを経験しているわけですから。それでも青山をチョイスしたのは、森保さんにしか知り得ない何かがあったんでしょうね。

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