宇都宮徹壱ウェブマガジン

わが平成史 写真とフットボールを巡って 自分自身の「レガシー」として(平成16年/2004年)

 ビッグイベント後の静寂──。東京五輪・パラリンピックの開催を1年後に控えた今、そろそろ「ポスト2020」のことをイメージしておいたほうがいいだろう。ヒントとなりそうなのが「ポスト2002」。私自身の身近なところで言えば、ブラジルの5回目の優勝に終わった2002年のワールドカップの閉幕をもって、旧スポナビを運営していた株式会社スポーツ・ナビゲーションは清算。そのライバルだったISIZE SPORTSもサイトを閉じることとなった(運営スタッフの多くはその後、J’s GOALに関わることになる)。

 2000年のネットバブルを背景に誕生した、わが国におけるネットメディアのフロンティア。サッカー界でその先駆的な役割を果たしたスポナビとISIZE SPORTSは、わずか2年でいったんクローズすることとなったのである。まさに、ビッグイベント後の静寂。スポナビはその後、ヤフー・ジャパンの100パーセント子会社としてその傘下に入ることとなり、新しい社名はワイズ・スポーツ株式会社となった。このあたりの経緯は、スポナビの連載『Jリーグ25周年』に書いたとおりである(参照)

 TOKYO2020に関して、やたらと「レガシー(遺産)」という言葉が聞かれるようになって久しい。それはインフラに限った話ではなく、メディアもまた十分にレガシー足り得ると言えるだろう。ましてやネットメディアが黎明期だった2000年代初頭、旧スポナビやISIZE SPORTSといった新しいメディアが「ビッグイベントが終わったから」といって(もちろんそれだけが理由ではないが)、強制終了となったことが残念でならない。「ポスト2020」では、こうしたことが繰り返されないことを願うばかりである。

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