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【無料公開】森保監督「経験の浅い選手に手応えを感じた」ボリビア戦会見(2019年3月26日@神戸)

──6月のキリンチャレンジカップは、どこと対戦したいか?

森保 強いチームと対戦したいと思います。われわれは、もっともっと成長しないといけないので、より強いチームと試合したいです。今回のコロンビアにしてもボリビアにしても、南米のチームと試合させてほしいということは言っています。それで(昨年の)ウルグアイであったり、コロンビアであったり、FIFAランクで世界の上位のチームと組んでいただいて、試合できたことは貴重な機会だと思っています。

 なぜ南米かと言いますと、もちろん欧州にも世界一のフランスをはじめ強豪国はたくさんあります。南米には、日本人がまだまだ培っていかなければならない身体の使い方やテクニック、戦術的にも試合の流れの中で臨機応変にやっていく能力が非常に高い。そこは日本人が培っていかないといけない部分を、彼らから吸収できるようにということで南米をリクエストしていました。すみません、質問と答えがちょっと違っていて。

──大迫の代わりということで、鎌田を慣れないワントップで起用したことをどう評価しているか?

森保 鎌田は普段、どこでプレーしていますか? 2トップですが、前ですよね? いちおう、それを見て起用しています(笑)。1トップと2トップの違いはあるかもしれないですが、彼が攻撃の部分でポイントになったり、相手の背後に抜け出す動きだったりというところは、2トップでも1トップでもできると思ってスタメンで起用しました。

 技術も非常に高い選手なので、コンビネーションの部分で、時間を追うごとにいいプレーをしていたと思いますし、最後は一発で素早く背後に抜けたわけではないですけど、GKとの1対1を作り出しました。そこは2トップでも1トップでも変わりない、彼の良さを引き出してくれていたと思います。

──平成最後の代表戦となったが、監督にとってどんなサッカーの時代だったと思うか。

森保 平成最後の試合だからというわけでもないですが、1試合1試合、勝利を目指して戦うということで、今日の試合も選手を入れ替えながら、選手の成長につながるような試合ができればと思っていました。必ずこの試合を選手たちがものにしてくれるという思いで、今日のピッチに送り出しました。平成最後の試合だということは、試合前にもわかっていたので、今日の試合はひとつの区切りとして勝てたということは、また次の時代に向かって進んでいけるかなと思っています。

 試合前の記者会見でも言いましたが、私は日本代表の勝利とサッカーの発展と日本サッカーの歴史の継承をしたいと思ってこの仕事をしています。平成は終わりますが、多くのサッカー関係者の方々が尽力してくれたおかげで今の自分たちがあるということを、感謝の気持ちをもって今は戦いたいと思います。これまで積み上げてくださったことを、さらに新しい時代に発展させられるように努力していきたいと思っています。

──今日のスタメンは、ベテラン3人とそれ以外の8人とのキャップ数にかなりのギャップがあったが、これは意図的なものだったのか、それともたまたまだったのか?

森保 全員使わなければならなかったので、こうなりました。これまでは意図的に経験の浅い選手と豊富な選手というところは、考えながらやっているつもりです。ただ、代表の活動をする上で選手を招集するときに、選手のキャップで招集はしていないです。

 普段の選手たちがやっているチームの活動の中から選ぶことと、われわれがチーム作りをしている条件の中で成長につながることができればというふうに思っています。今日のメンバー構成で、経験の浅い選手たちを経験豊富な前線の選手たちが引っ張ってくれたということは、これまでやってきたことを経験豊富な選手たちが実践してくれたかなと思っています。

──今日の香川の評価について?

森保 先ほども言いましたが、彼はこれまで日本代表を長く引っ張ってきた存在だと思います。今日の試合の中で、経験が浅い選手がたくさんいる中で、落ち着いてプレーしてくれていたと思います。自らこの試合で結果を出すという思いをもって、準備のところから今日の試合においてもプレーしていたと思っています。試合の流れの中でも、なかなか相手の守備が崩れない中、相手を少しでも間延びさせる、あるいは疲労させる、嫌なところを突くようなプレーをしてくれていたと思います。

──6月のコパ・アメリカを考える時、さらに新しい選手を呼ぶのか、それとも今まで呼んだ選手の中でチームを作るのか?

森保 今後のチーム作りとして、これまで招集した選手たちを軸に、あとは普段の選手の活動を通して6月のキリンチャンレンジカップに招集したいと思っています。アジアカップから今回、多くの選手を入れ替えてチーム編成をしましたが、これまでも皆さんにお話しているとおり、日本代表として選手層を厚くする部分で、私自身がいろんな選手を見ながらチームの底上げをしていくことを考えて、今回のメンバーを選びました。

 と同時に、アジアカップで戦ってくれた選手たちは、海外組はシーズンが進んでいる中で、自分のポジションを失うリスクを負ってアジアカップに来てくれて、その中で戦ってくれました。現実的にチームに帰った時、なかなかスタートから居場所がない厳しい現実にさらされている中、彼らは覚悟をもって来てくれているという部分。そこは指導者のひとりとして、選手ファーストということで。選手が所属チームで確固たるポジションをつかんで、より高いレベルでやることが日本代表の戦力につながっていくということ。彼らにはポジションを確保する戦いしてほしいと思います。

 国内組にしても、シーズンが始まってキャンプがある中、自分のポジションがどうなるんだろうと思いながらアジアカップを戦ってくれたという部分で、そこはチームの活動の中で力を発揮してもらいたいということで考えている選手もいます。ワールドカップ、アジアカップと連続してシーズンをまたいで休みなく戦っている選手たちは、今回招集しないことが休みになるかどかわからないですが、少しでもいい状態になることは考えてチーム作りをしていきたいと思います。

<この稿、了>

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