クロアチアへの旅と『東欧サッカークロニクル』 長束恭行(サッカージャーナリスト)<2/2>
写真提供:長束恭行氏
■ミキッチの引退発言を引き出せた理由
──今回の旅で、サンフレッチェ広島で長年プレーしたミキッチにインタビューしたことは、ひとつのハイライトだったと思います。次のフットボール批評で掲載予定だそうですが、そもそも彼は日本のメディアにしか取材は受けないんですってね。非常に意外だったんですが、理由はご存じですか?
長束 僕の推測ではあるんですが、Jリーグでの彼の活躍をクロアチアでは評価されていないことがひとつ。もうひとつはスーパーモデルである奥さんの話題が多いこともあるんじゃないですかね。いずれにせよ、クロアチアのメディアは誰も彼の連絡先を知らないので、アポ取りはすごく大変でした。
──どうやって捕まえることができたんですか?
長束 それが思わぬところでつながったんですよ。元クロアチア代表監督のチーロ(ミロスラヴ)・ブラジェビッチの息子が、フランス98のドキュメンタリー映画を作って、「日本の市場に出せないか」という相談を受けたことがあったんです。その彼にミキッチの連絡先を問い合わせたら調べてくれたんです。
──チーロの息子ですか! これまた長束さんならではのコネクションですね!
長束 もともとチーロはディナモで監督をしていたことがあって、そこでミキッチと一緒に仕事をしていたんですね。メッセージを送って、しばらく連絡を待っていたら、ミキッチの奥さんから直接電話をもらって。スーパーモデルでしたから、僕も緊張しました(笑)。本人ともいろいろやりとして、ようやくザグレブでインタビューできることになりました。実は今、スイーツショップをザグレブに開店する準備に追われているんですね。柚子とか抹茶とか、日本風のテイストのケーキを出すことも考えているそうです 。
──そういうお店を準備しているということは、もうすでに彼は引退を決意している、ということなんでしょうか?
長束 というか、実は今回のインタビューで初めて彼は「引退」という言葉を口にしているんですね。クロアチアのメディアでも一切言ってなかったので。だからミキッチの引退発言を最初に拾ったのは、間違いなく僕です。おそらく彼も僕を信頼してくれたからこそ、初めて「引退」ということをメディアに対して口にしてくれたんだと思います。とはいえ、最初は僕も「え?」という感じでした。引退するだろうとは思っていたんですが、実際に本人から直接聞かされるとは思わなかったので。
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