【無料公開】第2回「遠征先で見つけたもの」 徹壱スマホ写真塾・塾長講評
今週は5月の第5週ということで、徹壱スマホ写真塾の講評を行う。その前に、6月11日に開催予定のWMイベントの告知をさせていただくことにしたい。
今回は『東京からJへ!令和初の昇格クラブはどこだ?』 と題し、東京都区内から将来のJリーグ入りを目指す3つのクラブ(東京23FC、南葛SC、TOKYO CITY F.C.)の代表者やGMをお招きしてのトークイベントを行う。そろそろ予約が埋まりつつあるので、興味がある方はぜひ、この機会に前売チケットの申し込みをしていただければ幸いである。
今回のお題は「遠征先で見つけたもの」ということで、まずは先日の宮崎取材で私が撮影した作品を掲げておこう。現地のローカル線を利用した時、車体の赤と空の青さが美しく感じられたのでとっさにシャッターを切った。この場合、理屈ではなく感覚である。「いいな!」と感じたら、すぐさまポケットから取り出して「カシャ!」とシャッターを切れるのが、スマホカメラのいいところ。この「いいな!」「カシャ!」という感覚、塾生諸君もぜひ身につけていただきたいところだ。
【01】351shiga16さん(兵庫県)「雪も負けぬ天然芝」
まずはこちらの作品。ガイナーレ鳥取対いわてグルージャ盛岡で撮影されたものである。盛岡のサポーター席にいつも掲げられている、宮沢賢治をかたどったバナーは地域リーグ時代からあったものなので、ちょっと懐かしく感じられた。初めてこれを見た人なら、きっと撮影したくなるモティーフ。問題は、これをどう切り取るかである。
351shiga16さんは、スタンドからピッチを含める構図を選択した。そうしたい気持ちはよくわかる。が、このアングルだと宮沢賢治のフォルムが判別しにくくなってしまう。ピッチを入れたいのなら、もう少し引き気味の構図にするか、あるいはピッチを犠牲にしてバナーとスタンドのみを切り取るべきだった。写真とは、取捨選択の連続である。
【02】Arinoriさん(千葉県)「伊賀忍法・おもてなしの術」
【03】takei3kakkeiさん(神奈川県)「ベガっ太とハーロック風政宗公との饗宴」
Arinoriさんとtakei3kakkeiさんは、いわゆる物撮りで構図も似ていたので、合わせて講評することにしたい。遠征の思い出を、あえてミクロな視点で表現するのは、これはこれでありだと思う。ただし、せっかく遠出をしたのだから、背景にその要素を盛り込んでほしいところ。のっぺりした壁やソファではなく、もう少し奥行きの感じられる場所で撮影すれば、もっと違った印象になっていただろう。
【04】ケンイチさん(大阪府)「Lord of the J.LeagueとRoad to the J.League」
奈良クラブの中川政七社長と、Jリーグの村井満チェアマンが対談しているところを撮影した作品。撮影者のケンイチさんいわく「某映画のタイトルから思い付いたタイトル先行型の1枚」とのことだが、もう少しタイトルにふさわしいアングルを工夫してほしかった。せっかく面白い顔合わせなのに、画面がフラットすぎて非常にもったいない!
こういう場合、カメラポジションを中川さん側か村井さん側、どちらかにずらして奥行きを作ることで、よりメリハリのある構図を作ることができる。あるいは反対側に回って、客席を背景にふたりがしゃべっているところを撮る、という視点もあり。あまり動き回れない状況だったかもしれないが、今後の撮影の参考にしていただきたい。
【05】かずみ@むぎちゃさん(栃木県)アウェイでみつけたもの
5月5日に行われた、JFLでの三重県ダービーでの1枚。かずみ@むぎちゃさんは、ヴィアティン三重のサポーターである。自分が振っている旗をふと見上げた瞬間、そこには青空とかすかな虹。これこそ、サポーターだけが得られる視界であり、その瞬間を感覚的に切り取ったセンスを高く評価したい。
一方で「旗に何が描かれているか、わかりにくい」という意見もあるかもしれない。確かに、サポートチームを想起させるアイコンが見えたほうがベストだろう。けれども、すべてが説明され尽くしたような作品は、かえって面白みに欠けるのも事実。この明快な構図は、そうした細々としたことを忘れさせるくらいのインパクトがある。
【06】R.KATOさん(神奈川県)近くて遠いグルメの楽園
R.KATOさんは清水エスパルスのサポで、鹿島アントラーズとのアウエー戦で撮影したのがこの作品。カシマスタジアムはホームとアウエーがフェンスで厳格に区切られており、アウエー側のサポーターはホーム側の豊富なスタグルにありつくことができない(「密輸」という手段はあるが)。作品は、そうした厳しい状況を捉えたものである。
R.KATOさんは前回も、IAIスタジアムを俯瞰で撮った作品を送っていただき、その際にも「構図を工夫するように」とアドバイスさせていただいた。今回もまったく同じで、フェンスの面積があまりにも大きすぎる。もう少しスマホをフェンスに寄せて、「グルメの楽園」側によりフォーカスすれば、さらにストレートなメッセージになったはずだ。
最後に、最優秀作品の発表を。今回は文句なし、【05】のかずみ@むぎちゃさんとさせていただく。賞品は、先日の宮崎ダービー取材で購入した、ホンダロックのマスコット『ロッキー』がプリントされたフード型タオル。かずみ@むぎちゃさん、おめでとうございます!
次回の徹壱スマホ写真塾は、7月に募集して8月に講評というスケジュールを予定している。次回こそは、もう少し投稿作品が増えることを期待したい。そして今回ご応募いただいた皆さんも、これに懲りずに再挑戦していただき、写真の上達を実感してもらいたい。第3回のテーマは、あらためて当WMにてお知らせする。
<この稿、了>