久保建英が読んでいたサッカー本の名著『スタジアムの神と悪魔』を再読してみる
コパ・アメリカが開催国ブラジルの優勝で終わった翌日、レアル・マドリーに移籍した久保建英がチームに合流した様子がネット上でニュースになっていた。思えば18歳までの彼のキャリアが、すでに一本の映画が撮れるくらいドラマティックだったわけだが、今後はさらにとてつもないストーリーが準備されていることだろう。そんな久保の未来について、今週は少しばかりユニークな観点から考察することにしたい。
コパ・アメリカの戦いを終えた日本代表が、ブラジルから帰国した直後、空港で久保が手にしていた書籍がちょっとした話題になった。『スタジアムの神と悪魔 サッカー外伝』がそれで、著者はガルシア・マルケスと双璧を成すウルグアイ人の文学者にしてジャーナリスト、エドゥアルド・ガレアーノである。この本の初版は1998年。すでに絶版となっており、久保効果ゆえだろうか、Amazonでは「この本は現在お取り扱いできません」となっている(つい先日までは中古で2万5000円という高値が付いていた)。
妙に嬉しくなった私は、本棚から久々に『スタジアムの神と悪魔』を引っ張り出してみた。同書は私の中で「歴代サッカー本」のベスト3に入る名著である。版元は、哲学、科学、現代史、社会学などの専門書で知られる、みすず書房。ここからサッカーをテーマにした書籍は、私が知る限りあと2作品しかない(千田善著『オシムの伝言』と宇都宮徹壱著『ディナモ・フットボール』)。絶版となったこの本を久保が持っていたのは、おそらく父上がかつて読んでいたものを譲ってもらったと考えるのが自然だろう。
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