鈴鹿アンリミテッドFCの壮大なプロジェクトを託されて ミラグロス・マルティネス・ドミンゲス&小澤哲也<1/2>
今週は、鈴鹿アンリミテッドFCのミラグロス・マルティネス・ドミンゲス(愛称ミラ)監督、そして通訳の小澤哲也さんのインタビューをお届けする。今回のインタビューは、先月の鈴鹿での現地取材の中で行われたもので、記事そのものは8月6日発売のフットボール批評issue25に掲載予定。ただし、原稿に反映されたミラ監督のコメントは、そのごくごく一部である。
確かに紙メディアでの取材では、よくある話である。しかしながら、日本で初めて女性監督が全国リーグを戦うチームを率いているのだ。もう少し、彼女の肉声を再現したいと考えるのが人情であろう。そんな時のためのWM。今回はフットボール批評編集部のご理解を得て、ミラ監督と小澤通訳のインタビューをお送りすることにする。
このうちミラ監督のインタビューは、当然ながら小澤さんに通訳していただいたのだが、それとは別に小澤さん単独でもお話を伺っている。そしてミラ監督と小澤さんのインタビューは、それぞれ分けて掲載することにした。なぜこのような構成になったのかについては、本稿をお読みいただければご理解いただけるはずだ。最後までお付き合いいただければ幸いである。(取材日:2019年6月2日@鈴鹿)
<目次>
*イニエスタとは「アルバセーテつながり」
*日本行きは「夢のようなチャンス」
*サッカーの話をしていれば男女の違いはない
*スペイン5部でのプレー経験、そして挫折
*ただ監督の言葉を訳せばいいわけではない
*通訳として壮大なプロジェクトに関わる意義
<ミラ監督インタビュー>
■イニエスタとは「アルバセーテつながり」
──今日はよろしくお願いします。昨夜、CL(チャンピオンズリーグ)の決勝があったわけですが、ご覧になりましたでしょうか?
ミラ もちろん寝ていました(笑)。日本にいると、やはりヨーロッパとの距離感を実感しますね。サッカーを見る時もそうだし、家族と電話で話す時間についても。今日は試合でしたから、CLは時間ができたら録画映像を見る予定です。
──ヴィッセル神戸のイニエスタ選手と先月、お会いになったそうですが、彼とはアルバセーテ時代からつながりがあったのでしょうか?
ミラ お互いにアルバセーテの出身です。アルバセーテのメディアが来日して、イニエスタにインタビューする際に私にも声がかかったということですね。お互いに存在は知っていましたが、直接会うのはその時が初めてでした。私が日本に来たことで、イニエスタにも「アルバセーテつながり」で会えましたし、スペイン大使館の催しではフェルナンド・トーレスやクエンカにも会うことができました。
──彼らとの会話の中で、日本サッカーについてどんな意見の一致がありましたか?
ミラ 生活面でもサッカー面でも「どれだけ適応できているか」ということですね。サッカーに関することでは「プレー中に良い選択をするという部分で、スペインと日本とではまだ差がある」ということでクエンカと意見が一致しました。戦術に関する意識もそうだし、サッカーに対する考え方も、日本人は直接的過ぎる傾向が見られます。
──「直接的過ぎる」というのは?
ミラ ボールが単純に行ったり来たりする、ということですね。横への展開が少なくて、攻撃の意識がどうしても縦方向になりやすいという意味です。
──なるほど、理解しました(笑)。それでは本題に入りますが、ここまでの鈴鹿は2勝1分け5敗の12位となっています。成果と課題をそれぞれ挙げていただけますか?
(残り 4068文字/全文: 5569文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ