宇都宮徹壱ウェブマガジン

サッカーライターの仕事は10年後になくなる? 現場主義&マイナー志向のスタイルを貫くために

 いわてグルージャ盛岡の取材を終えて、東京に戻る新幹線はやぶさの車中にて、この原稿を書いている。行きの新幹線は仙台の次が盛岡だったが、帰りは6つの停車駅があり、そのうち4駅(新花巻、北上、水沢江刺、一ノ関)が岩手県。さらに盛岡から北には、いわて沼宮内、二戸の2駅がある。東北新幹線は東京から新青森まで23駅あるが、そのうち7駅が県内にあることからも、岩手の広さを実感できる。北海道に次ぐ広大な面積を持つ県で、今季から全33市町村すべてをホームタウンにする、クラブの覚悟をあらためて思った。

 その土地の広さや距離感、暑さや寒さ、賑わいや寂れ具合、そして人々の暮らしぶりやご当地の味覚、などなど。いずれも、現地に行ってみないとわからないことばかりである。試合レポートや戦術分析の原稿は、中継映像だけでもある程度は書けるだろうが、それ以外の情報はやはり現地に行くことが大前提。先週訪れた福井もそうだったが、現地の人に取材して、現地の空気に触れながら、現地の飯と酒を味わうことで、求めるものの本質はようやく見えてくる。だからこそ私は、この仕事を初めてからずっと現場主義を貫いているのである。

 さて、今週の盛岡取材と先週の福井取材には決定的な違いがある。盛岡のほうはスポーツナビの『Jリーグ新時代 令和の社長像』にて掲載予定だが、福井のほうはWMのオリジナルコンテンツであり、来年の書籍化を予定しているものの完全に自腹取材。なぜ自腹なのかというと、アンダーカテゴリーの取材レポートを掲載できる媒体がないからだ。こうした骨太な企画を受け入れられるのは、紙媒体ではフットボール批評くらい。一方でネットメディアについては、ここ数年で状況がかなり変容している。 

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