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【無料公開】蹴球本序評『30秒で子どもの未来は変わる! 勝手に才能が伸びる風間式育成メソッド』風間八宏 北健一郎著

 このタイミングで出すべきかどうか迷ったが、このタイミングだからこそ紹介すべきなのかもしれない。名古屋グランパスを率いる風間八宏監督、そしてライター兼編集者として縦横無尽の活躍を見せている「きたけん」こと北健一郎さんによる共著。さっそく「はじめに」から引用することにしよう。

 

 サッカー選手になるためには、どんなことをすればいいですか?

 子どもがサッカーをしているという親から、よくこのような質問をされます。そのたびに、私はこう答えてきました。

「人の何十倍もボールにボールを触ることです」

 それを聞いた親は、ちょっと残念そうな顔をします。なんだ、根性論じゃないかと。練習量を多くすれば上手くなるなんて、当たり前じゃないかと。ただ、私は決して根性論を言っているつもりはありません。

 まったく同じ量の練習をしていても、伸びる選手と伸びない選手がいます。その差は一体どこにあるのでしょうか──。私はこう考えます。伸びる選手は、自分がやりたいからやっている。伸びない選手は、誰かに言われたからやっている。

 いわゆる「風間本」は、これまでにもたくさんあった。その戦術理論から指導方法から独自のサッカー哲学に至るまで、風間監督は常に斜め上の発想を言語化してはわれわれを驚かせてきた。であるがゆえにサッカーライターも意欲を掻き立てられ、その結果として何冊もの「風間本」が生まれてきた(と理解している)。

 共著者である北さんは、そうした経緯をきちんと認識した上で、あえてこのテーマにチャレンジした。そこで用いたキーワードは「子ども」。親、指導者、そして子ども(=プレーヤー)。それぞれの悩みに対して、風間監督が(一見すると)意外性のある答えを出し、そのココロを解説する。それが腹落ちすると、風間メソッドの一端を理解できる、という仕組みになっている。

 非常に読みやすくポイントも絞られているので、いわゆる「風間式」を抵抗なく咀嚼するのであれば、本書が最も有効なのかもしれない。とはいえ「風間さんのままでいいのだろうか?」と疑心暗鬼になっている名古屋サポが、これを読んで納得できるのかといえば、それはまた別の話。非常に面白い本ではあるが、タイミング的にいささか損をしているようにも感じられる。

 ちなみに「元サッカー少年」の端くれとしては、132ページの「サッカーはやめてもいい」が印象に残った。監督から嫌われていると思い込み、辛さを感じている選手に対して、風間さんは「辛いなら、やめちゃってもいいんじゃないかな?」と答えている。少年時代、風間さんのような指導者に出会っていたら、もっと違った人生が拓けていたかもしれない。それが幸せな人生だったかどうかは、今となってはわからないけれども。定価1500円+税。

【引き続き読みたい度】☆☆☆★★

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