宇都宮徹壱ウェブマガジン

政治的雑音のないラグビーワールドカップ TOKYO2020の「旭日旗問題」に寄せて


 先週の日記にも書いたとおり、ミャンマーでのワールドカップ予選取材から戻って、すぐさま開幕直前のワールドカップ(こっちはラグビー)の取材で東北を飛び回っている。福島のいわき市では、当地で事前合宿をしていたサモア代表を取材。その後はさらに北を目指し、今大会唯一の新設スタジアムが建設された岩手県の釜石を訪れている。本稿は釜石から東京に戻るまでの長い帰路の中で書いているが(何しろ6時間かかる)、ここまでの取材中に考えたことを記すことにしたい。

 いわきFCパークで「サムライブルーの料理人」西芳照さんにお会いした際、ラグビーワールドカップを取材する旨を伝えたら「Jリーグも佳境なのに大丈夫ですか?」と心配されてしまった。もちろん承知の上である。大会期間中の今月20日から11月2日までは、まさに国内サッカーはどのカテゴリーも終盤戦。決勝の日はJ1が第30節、J2は第39節。後者については、そろそろ優勝や降格チームが決まっていてもおかしくないタイミングだ。ちなみに地域CLは大会後だが、全社は思い切り被ってしまったので、今年は断念した。

 短期的に見れば、この時期サッカーの現場に行けないのは残念だが、ドメサカのシーズンはこれからも続く。それに対して、ラグビーのほうは「4年に一度じゃない、一生に一度だ。」。伝統国が隠然たる力を持ち、世界戦略への姿勢が鮮明とはいえないワールドラグビーの現状を考えれば、五輪のように何度も日本で開催されることはないだろう。そうした希少性に加えて最近痛感するのは、この大会における「政治性の希薄さ」。TOKYO 2020の最近の議論を見るにつけ、その思いは強まるばかりである。

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