宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ横浜国際の販売員はSNSで世論に訴えたのか? 当事者が語るラグビーワールドカップの「飲食問題」

FOOD」と書かれたカウンターの前に、幾重にも連なる長い長い行列。先日、ラグビーワールドカップの取材で訪れた、札幌ドームでの光景である。9月20日に開幕した大会は、日本代表やラグビー列強国が繰り広げるワールドクラスのプレーに、普段ラグビーに縁のなかった人々をも熱狂させている。しかし一方で「飲食の持ち込みができない」「ソフトドリンクがすぐ売り切れる」「フードコーナーで長時間待たされる」といった苦情がネット上で続出。大会組織委員会の準備不足が、早々に露呈されることとなった。

 その後、23日になって組織委員会が《より快適な観戦環境を提供するため、持込禁止物の内、食品についての規制を緩和することといたしました。》とアナウンス(参照)。飲料については、これまで通り持ち込み禁止とするものの、こうした国際大会では異例とも言えるスピード感であった。この判断に一役買ったと思われるのが、こちらの一連のツイート。横浜国際総合競技場で21日に開催された、ニュージランド対南アフリカの試合終了後に発信されたツイートは、2万2000RTを記録し、2万以上の「いいね!」が付いた。

 このツイートの発信者は、試合当日に横浜国際のフードコーナーで販売員のアルバイトをしていた女子大生。ツイートの内容には、若さゆえの感情的な表現はあったものの、問題点をしっかりと捉えてストレートに伝えようとする明確な意思が感じられる。そのまっすぐな眼差しと勇気に対して、賛同の意味を込めてリツイートとフォローをしたところ、先方からもフォロー返しをいただいた。そしてDMでのやりとりののち、札幌取材から戻ってすぐに、本人から直接話を聞かせてもらえることとなった。

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