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【無料公開】森保監督「冨安自身が一番痛い思いをしている」ワールドカップ・アジア2次予選、モンゴル戦会見(2019年10月10日@埼玉)

<登壇者>

日本代表 森保一監督

森保 まずはカタール・ワールドカップのアジア2次予選、ホーム初戦に勝利して、埼玉スタジアムで応援してくださった皆さん、ここにおられるメディアの皆さんを通して応援してくださった方々に勝利をお届けすることができてよかったです。選手たちが、応援してくださる皆さんにホームで勝利を届けようという思いをもって、戦ってくれて勝てたことはよかったと思います。

 そして試合の前から選手たちに話していたこと。当然、相手があっての試合ですが、相手を上回ることを攻守ともに賢く集中力をもってハードワークすること。油断やスキを見せずに戦い抜いてくれたことが、結果につながってよかったと思っています。自分たちがこの試合で何をできるか、しっかりやろうということ。対戦相手がどこであれ、われわれが経験値を積み上げて、個としてもチームとしてもワールドカップに向けてレベルアップしていくということを、選手たちが実践してくれたと思っています。

 ただし今日の勝利、今日の試合はすでに終わりました。われわれ日本代表を応援してくださっている方々と、勝利の喜びを分かち合うことは、次の試合に向けて終わらせ、またしっかりと最善の準備をしてタジキスタン戦に向かいたいと思います。

──否定的な質問になるが、9月から3試合連続で後半に攻撃の効率が落ちていることについて、どう考えるか?

森保 まずは意識としては、選手たちが後半もアグレッシブに戦うということ。積極的な姿勢ということに関しては、他の試合は別として、今日の試合でも点を取りに行く姿勢を後半も忘れずに戦うということは、実践してくれたと思っています。

 攻撃のテンション、インテンシティ、クオリティが多少落ちるという印象を持たれる部分は、点差が開いた中でゲームコントロールしていくところもあると思います。また、選手が変わった時の連携・連動の部分で、もっと(クオリティを)上げなければいけないのかなとも思います。特に選手が代わったあと、連携・連動の部分で落ちたということがないように、これからもトレーニングをしっかり積みながら、チーム力を高めていきたいと思います。

──右の中盤に中に切れ込む堂安でなく、タテに突破力のある伊東を起用したのは、相手が中央を固めてくることを想定しての狙いだったのか? また、伊東の評価は?

森保 選手起用に関しては、今日だけではないですが、ひとつの考え方だけでなく、先発を決めるときに戦術的な側面、コンディションの部位。われわれがこの試合で勝利する部分と、チームとしてどう試しながらやっていけるかという部分。すみません、答えがアバウトになってしまいますけど、いろいろな考えを含めた上での選手起用となりました。

 伊東のプレーに関しては、彼は今、チャンピオンズリーグでもプレーしていますし、より高いレベルで戦っている自信を、今日の試合にプレーで出してくれていたと思います。

──今日はゴール6点だが38本シュートしているという決定率の問題。それとタテのクサビを入れる攻撃でなく、サイドからヘディングで決めた得点が多かったことについて、どう評価するか?

森保 まずはモンゴルが、われわれのこれまでの戦い方を分析して、固い守備をしてきたということは(要因として)あると思います。中央を固められた時に、サイドにスペースが出てきて、それを選手たちが試合の流れや状況を考えて、スペースがあるところを見つけて、攻撃を仕掛けてくれたと思っています。

 選手たちに試合前に話したのは、相手がおそらく守備を固めてくるというところ。そうなったときに、リトリートした守備を崩すために何ができるかということを、状況を見て賢くやっていこうということを話しました。やれることは、まず自分たちがボールを保持している中でビルドアップ。ラインをしっかり上げて、お互いの距離感を良くする、数的優位を作っていく。

 印象としては、中央からの突破やタテへのパスは少なかったですけど、タテを狙っていることで相手がさらに中を締めてきたと思います。そうなったときに揺さぶりをかけながらサイドを突破する、こぼれ球をミドルシュートで打っていくというところ。また、セットプレーで得点を取るという部分は、どうしたらいい攻撃が仕掛けられるかということを、選手たちがいろんな選択肢をもってプレーしてくれたと思います。

 決定率に関しては、相手は失点を重ねても粘り強く守備をしてきましたし、(モンゴル代表の)バエス監督は戦術的にも選手起用に関しても、粘り強く戦っていくことをチームに浸透させていましたので、そこの部分でも止められた部分はあると思います。

──モンゴルは情報が少なく、試合してみないとわからないとおっしゃっていたが、実際に試合をしてみてどうだったか。それからアウエー戦は3月だが、人工芝のグラウンドと気候の厳しさをどう考えているか?

森保 今日はホームのアドバンテージを生かして、われわれが戦いやすい雰囲気をスタジアムで作っていただいて、その中で選手は思い切ったプレーをして勝利をすることができました。次のモンゴルでのアウエーの試合は、気温もかなり低い中で戦わないといけないと思いますし、人工芝もこれまでの現地での試合を見ていますと、かなりハードなピッチでプレーのクオリティを出すのは難しい状態だと思います。そこはしっかり準備をしていかないといけないと思います。

 今日の試合でも、モンゴルの選手たちはタフに粘り強く、球際のところで戦っているところを見せていました。その中でわれわれ日本は、今日は選手たちが集中して相手を上回ってくれたと思いますが、アウエーではさらにモンゴルのパワーが増すと思います。われわれがしっかり準備をして、戦う覚悟をもってアウエーに乗り込んでいかないといけないと思います。

──9月の2試合で良かった橋本を外して、遠藤を起用した意図は? またセットプレーで遠藤に合わせる機会が多かったが、監督からの指示だったのか、それとも選手たちが考えてのことか?

森保 まず選手起用に関しては、日本代表の強化をしてく上で、まずは目の前の試合に勝利することと、日本代表のチームを強く発展させていくということ。今の勝利と今後の発展を考えて、チームを動かしている中、今日の選手を何人か入れ替えて、途中交代も考えて起用しました。

 セットプレーに関しては、選手たちが相手のことを見て、どこがウイークなのか、どこがストロングとして自分たちが使えるのかを考えて、やってくれていたと思います。もちろん準備はしていましたけれど、コーナーキックの機会も多かったので、選手たちがバリエーションを考えながらプレーしてくれましたと思います

──点差が開いた中、3人目の交代で原口を入れた意図は?

森保 まず、元気が日本代表のトレーニングの中でも、しっかりした準備をしてくれていたこと。そしてチームとして、レギュラーでプレーしていること。今回の準備期間の中で、何をデータとしてということはないですが、チームとして彼を使った上で、試合の中で試すということでバランスを考えて起用しました。

 選手は23人いるなかで、フィールドプレーヤーを3人替えて、7人はプレーできない。GKもプレーできなかったということで、全員が素晴らしい努力してくれているので、できればピッチに立たせたい気持ちはありますが、いろんな優先順位を考えて起用すること。今日の場合は、怪我などもあってそこを対処しながら、選手起用を決めていました。

──冨安の状態だが、離脱した場合に代わりを呼ぶのか?

森保 まだはっきりした怪我のことは言えないですが、試合終盤でジャンプしてヘディングで行ったときに、左腿裏を痛めたということで、すでに病院で治療を受けています。今後については、おそらく次の試合はできないと思います。これから新たな選手に来てもらうことが可能かどうか、会見後にスタッフと確認したいと思います。おそらく、すぐ治る痛みではないと思いますし、冨安自身が一番痛い思いをしていると思います。少しでも早く治って、思い切ってプレーできることを、私を含めてチーム全体で願いたいと思います。

<この稿、了>

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