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平畠啓史が「ひらちゃん」であり続ける理由 新著『今日も、Jリーグ日和。』に寄せて<2/2>

平畠啓史が「ひらちゃん」であり続ける理由 新著『今日も、Jリーグ日和。』に寄せて<1/2>

VARの導入は本当にサッカーのためになるのか?

──今回の本は11の章立てになっているのですが、最も平畠さんらしさが感じられるのが第7章の「蹴球妄想喜怒哀楽」。これはある意味、真骨頂だと思うんですけど、特にスマホのSiriにサッカーの未来を尋ねるくだりは大爆笑でした(笑)。実際に、Siriの機能ってご存じなかったんですか?

平畠 もちろん僕も、スマホでメールしたり検索したりしますけれど、あんまり知らない機能を使うのが怖いんですよね(苦笑)。「これを押したら、何かややこしいことになるんじゃないか」みたいな感じで。ちょうどロケの合間に、スタッフから「Siriって機能がありまして」と教えてもらって「え、尻?」って思いましたもん(笑)。

──最後のオチが最高じゃないですか。「サッカーの未来は?」ってSiriに聞いたら「第15週のJリーグの試合はこちらです」って(笑)。

平畠 実はちょっと怖かったんですよ。サッカーの未来が、実は相当に悲惨なことになっていたらどうしようって。ですから、次の試合の予定が出てきたときには、正直ホッとしましたね(笑)。

──最新のテクノロジーとどう折り合いを付けるのか、という問題はデジタルネイティブではない世代のサッカーファンにとって喫緊の課題だと思います。今はもう慣れましたけれどDAZNがそうでしたし、スマートスタジアムというものが一般的になれば、サッカーの楽しみ方そのものが大きく変化しそうですよね。

平畠 それこそ5Gの時代になったら、スタジアムで試合を見ながらスマホで選手のデータとか、ゴールシーンのリプレー映像とか見られるわけですよね。それはそれでいいなと思う反面、VARの導入が本当にサッカーのためになるのか、ちょっと疑問に思うこともあります。サッカーの面白さって、ちょっと曖昧でグレーなところがあって、そこに僕は人間らしい面白さを感じるんですよ。デジタルのように、0と1だけで済む話ではないように感じるんですよね。

──ゴールが決まったと思ったらVAR判定になって、結果が出るまでゴールを決めた喜びがお預けになるというのは、確かに興ざめですよね。

平畠 2分くらい待たされて、ゴールの判定になってからユニフォームを脱いで喜ぶのって、めっちゃウソっぽいじゃないですか(笑)。そのへんのところが、僕にはどうも整理がつかなくて。もちろんVARに救われる人もいるんでしょうけど、近い将来にFIFAの偉い人が「やっぱりサッカーらしくないからVARは止めましょう」と言い出さないかなって、実は密かに期待しているところもあります。

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