宇都宮徹壱ウェブマガジン

もはや無条件で追いかける存在ではない? 日本代表から「ちょっと」離れて思うこと

 キルギスでのワールドカップ・アジア2次予選の取材から帰国後、広島での東京五輪代表のコロンビア戦も、大阪でのキリンチャレンジカップのベネズエラ戦も欠席することにした。前者はFC今治の今季最後のアウェー戦(対鈴鹿アンリミテッドFC戦)と思い切り被っていたためであり、後者は地域CL決勝ラウンドの前日だったので、会場である福島に前乗りする必要があったからだ。ベネズエラ戦は投宿先でTV観戦していたが、コロンビア戦は試合時間が重なっていたのでリアルタイムでは見ていない。

 思えば、これまでほぼ皆勤賞だったA代表の取材も、現場をお休みするのは今年で2回目である。前回は10月15日のタジキスタンとのアウェー戦。この時はちょうどラグビーワールドカップの取材中で、前々日に行われる日本対スコットランドに集中するべく、早い段階から取材を断念した(その時は、まさかあのような感動が待ち受けているとは夢にも思わなかったが)。のちに聞いたところでは、タジキスタン戦ではフリーランスの取材者はほぼ皆無だったらしい。理由は「ジャーナリストビザが高額だった」ためである。

 今回取材したキルギスはビザなしで渡航できたが、直行便がないために渡航費はいつもよりも割高となった。加えてアジア2次予選では「数字が取れない」ことを理由に、日本代表関連の仕事が激減した影響も大きく、取材に訪れていたフリーの記者の数は限られたものになっていた。地域CLならいざ知らず、代表戦でも「数字が取れない」というのが、最近のサッカー業界を取り巻く現状である。もはや日本代表は、無条件で追いかける存在ではなくなってしまったのではないか? そんな疑念さえ頭をもたげる。

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