「戻るべき場所」を目指す刈谷、わずかな可能性を信じた沖縄 全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2019<1次L篇>
2019年最後のコンテンツは、今年の地域CLの徹ルポである。今大会は、いわきFCと高知ユナイテッドSCのJFL昇格が決まったが、本稿では敗れ去ったチームについてもきちんとフォーカスすることを心掛けた。試合当日のフォトレポートとは趣が異なる、新たな筆致による地域CLの記録をお楽しみいただきたい。
■「数字が取れない」地域CLを取材する理由
4年ぶりの金沢だった。前回は2015年の天皇杯1回戦で、ツエーゲン金沢とFC今治が対戦した試合を取材。途中から雨が降ってきて、コンコースの階段に足を滑らせ、思い切り転倒した苦い記憶が蘇る。北陸新幹線かがやきを降りると、小雨がぱらついていた。明日は晴れてくれるだろうか。
今年も地域CLの季節がやって来た。正式名称は、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ、かつては全国地域サッカーリーグ決勝大会と呼ばれていた。地域リーグからJFLを目指す大会を初めて取材したのは、2005年のこと。早いもので、今回が15回目となった。私にとっては、もはやライフワークと呼んでいいだろう。
とはいえ、地域CL取材をアウトプットする媒体が、非常に少なくなっているのも事実。かつては専門誌でも取り上げてくれたし、FC今治がJFLを目指していた時にはスポナビ案件で取材することもできた。しかし今治が卒業して以降は、もっぱらWMのみでのアウトプットとなっている。試しにいくつかのネットメディアに打診してみたら、ひとつは「いわきFCが上がったらやりましょう」、もうひとつは「数字が取れないので結構です」。これが、サッカーメディア全般における、地域CLのポジションである。
正直、地域CLはマネタイズが難しい取材対象である。とはいえ自分の仕事を俯瞰的に捉えた時、全国9地域のチャンピオンが集まるこの大会は、やはり外せない。あらためて、今大会の出場チームをグループごとに書き出してみよう。
Aグループ(会場:金沢)
・福井ユナイテッドFC(北信越1位/福井)
・沖縄SV(九州1位/沖縄)
・FC刈谷(東海1位/愛知)
・FC徳島(四国2位/徳島)※輪番制
Bグループ(会場:仁賀保)
・いわきFC(東北1位/福島)
・FC TIAMO枚方(関西2位/大阪)※全社枠
・VONDS市原FC(関東1位/千葉)
・北海道十勝スカイアース(北海道1位/北海道)
Cグループ(会場:高知)
・おこしやす京都AC(関西1位/京都)
・高知ユナイテッドSC(四国1位/高知)
・ブランデュー弘前FC(東北2位/青森)※輪番制
・SRC広島(中国1位/広島)
今年は9地域のチャンピオンに加えて、全社枠が1チーム、そして輪番戦が2チーム。12チーム中、広島を除く11チームがJFL昇格を目指している。それでは、どの会場に向かうべきか。「死のグループ」と目される仁賀保会場は、確かに惹かれるものがあった。しかし、今回は金沢一択。2006年に設立間もないツエーゲン金沢を取材して以来、加賀百万石は私にとって思い出の地であり続けた。
その日の夜は、ツエーゲンの元フロントの人に連れられたお店で、宝石のような寿司をいただく。ちょうど解禁されたばかりのカニが絶品。北陸の海の幸を楽しみつつ、明日から始まる地域CLの戦いに向けて、あれこれ想像を巡らせていた。
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