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宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】福島成人実行委員長が語る注目作品 ヨコハマ・フットボール映画祭2020<2/2>

【無料公開】長束恭行のクロアチア映画プレビュー ヨコハマ・フットボール映画祭2020<1/2>

 1月25日(土)と26日(日)、横浜市の開港記念会館で開催されるヨコハマ・フットボール映画祭(YFFF)2020。長束恭行さんに動画で解説をお願いしたクロアチア映画2本に続いて、それ以外の作品をテキストでご紹介することにしたい。語っていただくのは、当WMではすっかりお馴染み、YFFF実行委員長の福島成人さんである。

 本稿でご紹介する映画は、以下の7本。

・スタディオン(チェコ/2018

・ソーシャルフットボール イタリアからの挑戦(イタリア/2017

・89(イギリス/2017

・レゲエ・ボーイズ(アメリカ、ドイツ/2018

・審判~ピッチ上の、もうひとつのチーム(日本/2019

・追憶のルブリン~キャプテンの葛藤と責任~(日本/2019

・わが青春のイレブン(日本/1979

 それではさっそく、福島さんにご登場いただこう。

<目次>

*知られざるソーシャルフットボールの世界

*「プレミア以前」のリバプールとアーセナル

*レフェリーとU-20日本代表に密着した作品

*映画以外にも楽しみなイベントが目白押し

知られざるソーシャルフットボールの世界

──ここからは福島さんと2人でお届けしたいと思います。クロアチアの作品が2つ続いたんですけれども、次も東欧つながりということで、チェコの作品『スタディオン』。つまりスタジアムですね。これもドキュメンタリーのようですが。

福島 そうですね。チェコにある、今は使われていない古いスタジアムの話です。ずっと放置されて荒れ放題になっていたんですが、地元クラブのレジェンドが引退することになって、「懐かしのスタジアムで送り出そう!」という話になったんですね。それでサポーターが集まって、スタジアムがリニューアルされる様子を追いかけたドキュメンタリーです。

──さすがに最近は少なくなりましたが、21世紀初頭の東欧を旅していると、打ち捨てられたスタジアムってけっこうあったんですよね。私もポーランドのワルシャワで見たことがあります。さすがにスタジアムそのものをリニューアルするのは、素人では厳しいと思うんですが、いちおう引退試合の開催にはこぎつけたんでしょうか?

福島 そこは作品をご覧いただくとして、スタジアムのピッチに生えていた木を伐採したり、スタンドの座席を修理したり、サポーターが力を合わせて何かを作り上げていく面白さは感じられると思います。YFFFのスタッフがドイツの映画祭で見つけてきて、今回上映することになったんですけど、僕もいい作品だなと思いました。

──チェコからさらに西に移動して、次はイタリアの作品ですね。タイトルが『ソーシャルフットボール イタリアからの挑戦』。

福島 原題が『Crazy For Football : The Craziest World Cup』といって、ソーシャルフットボールのワールドカップをテーマにした作品です。これまでYFFFでは、必ず障がい者サッカーの映画を紹介してきたんですが、ソーシャルフットボールというのは精神障がいの人たちのサッカーなんですね。

──存在は聞いたことがあります。精神障がいで対人関係に問題を抱えている患者に対して、サッカーを通じて機能回復を図る取り組みから生まれたんですよね。ただ、ワールドカップもあるのは知らなかったです。

福島 しかも第1回大会が2016年に大阪の堺で開催されているんですよ。出場したのが、日本代表と大阪選抜、そしてペルー代表とイタリア代表。この第1回大会に参加した選手や関係者のドキュメンタリーです。

──障がい者のサッカーといえば、たとえばブラインドサッカーとかアンプティサッカーだと見た目にもわかりやすいですよね。ソーシャルフットボールの場合、どのあたりに健常者のサッカーとの違いを感じましたか?

福島 もともとリハビリからスタートした競技が、よりコンペティティブなものに整備される過程なんだと理解しました。それとイタリアの場合、対象が精神病患者だけでなくて、薬物依存だったり、移民や貧困だったり、社会の中で困難な問題に直面している人たちも包み込んでいこうとしているんですね。そうした懐の深さを感じました。

──なるほど。例えばブラサカの場合、全盲と弱視で厳格なカテゴリー分けがなされていますが、ソーシャルの場合はあえて枠組みをゆるくしているのかもしれないですね。

福島 もちろん競技ということで考えれば、公平性を保つために厳格な線引きは必要だと思うんです。でもイタリアの場合、精神病の捉え方も日本とはかなり違うみたいで、病院任せにするのではなく「社会で受け入れよう」という文化があるみたいです。僕も今まさに勉強しているところですが、この映画を通してそうした違いについても知っていただく機会になればと思いますね。

──まさに、サッカーと映画を通じて自分が知らなかった世界にアクセスできるという、YFFFらしい作品と言えそうですね。

福島 そうですね。あと、これは余談なんですが、ソーシャルのイタリア代表も、けっこうちょい悪オヤジ系のイケメン選手が多いです(笑)。

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