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【無料公開】福島成人実行委員長が語る注目作品 ヨコハマ・フットボール映画祭2020<2/2>

レフェリーとU-20日本代表に密着した作品

──ここからは日本の作品を3つ紹介していきましょう。まずは『審判~ピッチ上の、もうひとつのチーム』ということで、Jリーグの審判団に密着したドキュメンタリーですね?

福島 そうです。もともとJリーグから昨年販売されたDVDなんですが、実際にご覧になった人はそんなにくないと思うんです。審判の仕事を1年間にわたって取材しているんですけど、試合以外のシーンもたくさんあるんですよ。冒頭がシーズン前の体力テスト。それから講習会であったり、試合後の(審判)アセッサーとのやりとりだったり。そして2018年のルヴァンカップ決勝でクライマックスを迎えることになっています。

──2018年の決勝といえば、湘南ベルマーレ対横浜F・マリノスという顔合わせで、F・マリノスがPKを主張したけれど認められなかったシーンが印象に残っています。

福島 そのシーンがどう描かれているかは、ここでの言及は控えますが(苦笑)。いずれにせよ、試合中の映像には主審と副審、そして第4の審判が最新のコミュニケーションシステムを使って情報交換しているシーンがあるんですね。まさにサブタイトルにある「ピッチ上の、もうひとつのチーム」という感じなんですよ。審判好きな人が見たら、むちゃくちゃ貴重な映像だと思います。それ以外にも、われわれファンが目にすることのないシーンがたくさん出てきます。

──そういったシーンを、カメラは淡々と追いかけていると。

福島 この作品の作りとしては、ある種のバーチャル・リアリティというか、実際に審判の現場にいるような演出がなされているんですね。テロップなんかも最小限になっているんですが、ちょっと聞き取りにくい部分があるのも事実です。ですので、上映のときには元国際審判の家本政明さんにお越しいただいて、実際に画面を見ながら解説していただくことになっています。

──それも審判オタクにはたまらない内容ですよね! 家本さんの解説はわかりやすいという定評がありますし、VARが本格導入されるこの機会にいろいろお話を聞きたいところです。続いての映画ですが、タイトルが『追憶のルブリン~キャプテンの葛藤と責任~』。ルブリンというのはポーランドの都市ですよね?

福島 そうです。これは去年、ポーランドで開催されたU-20ワールドカップのドキュメンタリーで、日本はラウンド16で韓国に敗れた開催地がルブリンだったんですね。その時のキャプテンが湘南の齊藤未月選手、指揮官が影山雅永監督、そして現地で取材していた川端暁彦さん。この3人がそれぞれの視点から、この大会を振り返るというドキュメンタリーなんです。実はこれ、J SPORTSさんの制作で去年OAされたんですけど、より多くの方に見てもらいたくて上映することになりました。

──FIFAの大会のドキュメンタリーって、カメラを入れづらいところも多いと思うんですけど、U-20だから成立したんでしょうかね?

福島 それもあるでしょうし、J SPORTSさんはアンダー世代の大会では実績があるのも大きいのかもしれませんね。独自の視点で深堀りしていますし、未月選手もいい感じのオーラを感じることができます。湘南のサポは必見です!

──これも『89』と同じく無料公開となっていますが、やはり権利関係でしょうか?

福島 おっしゃるとおり、FIFAの映像が随所に使われていて、有料上映にするとエキストラマネーが生じるので無料としました。ただ無料の作品についても、事前にYFFFのサイトから申し込んで登録していただく必要があります。先着順でのご案内となりますので、その点はご注意いただければと思います。

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