宇都宮徹壱ウェブマガジン

カリスマ社長が去ったクラブの現在地 4年ぶりの岡山取材で見つけたいもの

 久しぶりに新幹線の車窓から眺める富士山は、いつも以上に美しく輝いて見えた。2月も半ばを過ぎて、ようやく実現した2020年最初の地方取材。今回の目的地は岡山で、取材対象はもちろんJ2のファジアーノ岡山である。最後にこのクラブを取材したのは4年前の2016年(参照)。そして、初めて取材したのは2005年だから、もう15年の昔のことになる。あの当時、岡山はまだ中国リーグを戦っていて、運営組織もNPO法人。フロントも選手も、すべてがアマチュアによる手弁当状態だった。

 それにしてもなぜ、今、岡山なのか? 最近、何かトピックスはあっただろうか? そう疑問に思う人も少なくないだろう。そう、はっきり言って「これ」といったトピックスはない。いや、なくはないか。最近、SNS上でロック総統とファジサポの人の論争が、一部ドメサカファンの間で話題になっていた。そこで語られていたことと、多少は関係がある。ちょうど新幹線で移動している間に、今回の取材の方向性が明確に見えてきた。頭の整理も兼ねて、この岡山取材で明らかにしたいことをコラムにまとめておきたい。

 私が勝手に「股旅組」と呼んでいるグループがある。拙著『股旅フットボール』に登場した、地域リーグからJを目指していたクラブの一群である。いずれも2000年代半ばくらいに「わが町からJへ」というスローガンを掲げ、そのほとんどが現在、J2やJ3のカテゴリーで頑張っている。ファジアーノ岡山もそのひとつ。2006年の国体に向けて強化したチームを、中国リーグのさらに上を目指すべく現在の名称にしたのは04年のこと。そのスタートアップは、松本山雅FCV・ファーレン長崎よりも1年早かった。

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