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【無料公開】蹴球本序評『スポーツ立国論 日本人だけが知らない「経済、人材、健康」すべてを強くする戦略』安田秀一著

 とどまるところを知らない、新型コロナウイルスの感染拡大。スポーツ業界のみならず、旅行やイベントや飲食などの業界にも深刻な影響を及ぼしているのは周知のとおり。このご時世、逆に潤っている業界があるのかと思っていたら、書店はそこそこ賑わっているというニュースを目にした。TVやYou Tubeに飽きた人たちが、どうやら読書に回帰しているらしい。こんな時だからこそ、本を読む楽しさを思い出す人が増えてくれればと思う。

 そんな中、自宅に届いたのが本書。著者の安田秀一さんは、いわきFCのメインスポンサーである株式会社ドームの代表取締役CEOであり、筑波大学の客員教授も務めている。本書はいわゆる「蹴球本」ではないものの、スポーツの価値や存在意義について考えることが多い時節柄、うってつけのテーマであると思ったので紹介したい。まずは「はじめに スポーツが日本に革命を起こす」から引用しよう。

「プロ野球でも、当初と打者の二刀流をめざします!」

 7年前、こう爽やかに宣言した18歳の少年の言葉を、いったい何人が信じたでしょうか。ご存じのとおり、大谷翔平選手は、日本のプロ野球はもちろん、アメリカのメジャーリーグの歴史をも塗り替えてしまっています。

 僕が思うに、これこそがスポーツの力、そのものです。

(中略)

 本書で記していくのは、スポーツがもたらすさまざまな効能であり、主に経済的側面における欧米での成功事例をもとに「我が国をどのようにアクティベートするか」というアイデアや提言の数々です。

 安田さんは1969年生まれで、高校時代からアメリカンフットボールをはじめ、三菱商事退社後の96年にドームを立ち上げている。アンダーアーマーの日本総代理店として国内市場の開拓に邁進する一方、欧米のスポーツビジネスの調査を進めるうちに、日本のスポーツビジネスとの彼我の差に強い衝撃を受けることになる。そして日本サッカー界における、ひとつのアンチテーゼとして生まれたのが、いわきFCだった(と私は理解している)。

 元アメフト選手ということもあり、安田さんの発想のベースにあるのがアメリカ的な合理性。かの国の4大メジャーも、大学スポーツも、さらに言えばMLSのシステムも、世界的に見れば確かに特殊だ。しかし、アメリカがスポーツビジネスの最先端であり続ける限り、その方面に関心がある人は常にキャッチアップする必要がある。非常にわかりやすい文体で書かれた本書は、その入門書としてもお勧めできる。

 ところで最近、本業がお忙しいからか、いわきFCの取材現場で安田さんをお見かけしなくなった。最後にお話を伺ったのは、今から3年前。この機会に、インタビュー取材を申し込んでみようかと思う。新型コロナ終息後のスポーツ界の予測、あるいは東京五輪開催の是非など、切り口はいくらでも考えられる。その際に、本書の感想も直接申し上げることにしたい。定価1600円+税。

【引き続き読みたい度】☆☆☆☆★

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