Jリーグと東京都に見る「3密」対策の違い 新型コロナをめぐる情報感度の格差を考える
今週のコラムも、新型コロナウイルスについて書かせていただく。本当はもっと楽しいテーマについて語りたいのだが、またしてもJリーグの再開が延期となり、週末はずっと自宅軟禁状態にあったのだからやむを得まい。そんな日々の中で最近、痛切に感じることがある。それは「情報感度の格差」という問題だ。感染拡大はもちろん喫緊かつ深刻な問題だが、サッカー界隈の取材を続けている立場からすると、最近TVで耳目にする情報とのギャップに慄然とすることもしばしばである。
このところ「3密(さんみつ)」という言葉が、すっかり一般化したように感じる。3密とは感染リスクが高まる「密閉・密集・密接」の状態を意味し、先月25日に緊急会見を行った東京都の小池百合子都知事が「N0!! 3密」と書かれたフリップをドヤ顔で掲げている写真が出回っていた(参照)。とはいえ、この3密による危険性については、JリーグとNPBが3月初旬に立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」で、すでに何度となく提言されていたことだ。東京都の情報発信は3週間ほど遅れていたことになる。
小池都知事といえば、不要不急の外出自粛要請が明けた先月30日の夜にも、緊急会議を実施。何事かと思ったら「今がまさに感染拡大を抑えられるかどうか、その重大な局面です!」と繰り返しただけ。これだけでも脱力モノだが、会見場はマスクを着用しない記者が多く詰めかけており、しかも換気もすこぶる悪そう。まさに「3密」空間そのものであった。なぜJリーグのように、ZOOMを使ったネット会見を実施しないのだろう。こうした東京都の情報感度の鈍さには、都民のひとりとして、感染拡大と同じくらい不安をかき立てられる。
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