宇都宮徹壱ウェブマガジン

M&AのプロフェッショナルがJクラブを求める理由 稲吉正樹(NOVAホールディングス社長)<2/2>

M&AのプロフェッショナルがJクラブを求める理由 稲吉正樹(NOVAホールディングス社長)<1/2>


「むしろ悩みましたね。バスケもやっていましたし」

──ここから本題に移りたいと思います。いわてグルージャ盛岡の経営権取得についても、ボルシア・ドルトムントや広島ドラゴンフライズと同様、先方からの打診がきっかけだったということですが、タイミング的にはいつ頃でしょうか?

稲吉 決まる半年くらい前だと思います。

──経営権取得の発表があったのが、19年10月25日ですから、半年前というと去年の4月くらいということでしょうか?

稲吉 正確な日付は覚えていませんが、それくらいだったと思います。

──グルージャのどなたからお話があったのでしょうか?

稲吉 前オーナーのパルコホームの会長さんから、代理の方を通してですね。

──会長というのは遠藤渡さんですね? 実は去年の8月、盛岡で遠藤さんにインタビュー取材をしているんですよ(参照)。遠藤さんからは、具体的にどのようなオファーだったのでしょうか?

稲吉 さらにクラブを成長・発展させていくためには、やはり規模感のある会社や信用のあるオーナーでないと難しい、というようなお話だったと記憶しています。

──すぐに前向きな返事をされたのでしょうか?

稲吉 そうではなかったです。むしろ悩みましたね。バスケもやっていましたし。

──ですよね。そこから考えが変わるきっかけは、何だったのでしょうか?

稲吉 お話をいただいてから、何度か盛岡まで試合を観に行ったんですよ。先方には連絡せず、こっそりと。何試合か観戦して、感動するようになりましたね。試合内容というよりも、地元の子供たちがボランティアで運営を手伝ったり、清掃活動をしていたりしているのを見て、それにぐっと来ました。その後も、なかなかクラブの買取先が決まらないという話を聞いて、それで「僕らにできることがあるのではないか」と、前向きに考えるようになりましたね。

──それはいつ頃の話ですか?

稲吉 発表の1~2カ月くらい前の話です。最後に見た試合が、ホームでの福島ユナイテッド戦ですから、その直後ですね。

──(ネットで検索して)福島戦は8月18日で、グルージャが20で勝っています。昨シーズンのグルージャは、ホームで勝てたのはわずか4回だったんですが、これがシーズン最後の勝利でした。そうした成績面やJ3の環境について、不安や不満を感じることはありませんでしたでしょうか?

(残り 3570文字/全文: 4602文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2 3
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ