【サッカー人気3位】レッドカードを見極められなかった主審は…

宇都宮徹壱ウェブマガジン

たとえフットボールをもぎ取られたとしても 鹿島アントラーズ社長、小泉文明の131日<2/2>

たとえフットボールをもぎ取られたとしても 鹿島アントラーズ社長、小泉文明の131日<1/2>

<2/2>目次

*ウィズ・コロナの時代だからこそ「オフサイトをやろう」

*プロジェクトは「トップダウンではなくボトムアップ」で

*フットボールをもぎ取られた131日は苦しかったのか?

 

■ウィズ・コロナの時代だからこそ「オフサイトをやろう」

 前述したとおり、小泉は鹿島の社長とメルカリの会長を兼任している。茨城にあるプロフットボールクラブと東京にあるIT企業。業態も環境もまったく異なる2つの組織を、違和感なく往来する。2月に取材した際、小泉はスマートフォンのSlackを見せながら「こっちがアントラーズ、こっちがメルカリ」と、2つのチャットルームを指先1本で移動するさまを表現してみせた。両組織でのミーティングの内容は、すべて把握しているという。

「よく、瞬時に頭を切り替えられますね」と水を向けると、「それが経営者ですから(笑)。僕は経営者が、一番働かなければいけないと思っているので」と自然体で返してくる。それにしても今回のコロナ禍で、メルカリのほうはビジネス的なダメージはなかったのだろうか。小泉の答えは「むしろ(業績が)伸びている」というものであった。

「これはメルカリだけじゃなくて、今はeコマースが全般的に伸びている実感があります。実際に事業として、多くのお客様がこのタイミングでメルカリをご利用いただいているのは見て取れました。数字を見ても深刻な悪影響は受けませんでしたし、リモートワークについても会社として十分にできていましたので、そんなにネガティブな要素はなかったですね。それもあって僕自身は、アントラーズの仕事に集中できる状況でした」

 その一方で小泉は、オンラインセミナーに登壇したり、ビジネス系のメディアにも積極的に出演したりしている。中断期間中に行われたものを、いくつか拾い上げてみると『2020年代の産業創造論~既存産業を変えるDXの本質~』『新時代の「強い組織・企業文化の作り方」~after/withコロナ時代にビジネスや働き方はどう変わるのか~』『コロナに負けない! サッカーチーム経営』『急拡大組織の束ね方とは? モチベーションを高める仕掛けづくり』などなど。積極的な発信を続ける理由について、小泉はこう語る。

「社会が変化するタイミングって、皆が『怖い』と思うんですよ。これからどうなるのか、わからなくて『怖い』と感じる中、それでも経営者は明るい未来というものを提示する必要がある。それをどう提示するかは、リーダーシップの一番重要なポイントだと思っているんですね。アントラーズも同じです。ポスト・コロナやウィズ・コロナの時代で、僕らのビジネスがどう変わっていくのか。僕なりの仮説や方針というものを、提示していく必要があると感じています。みんなが明るい未来を信じて、前進していけるようにね」

 社員の不安を取り除いた上で、経営者としての仮説や方針を指し示す。言葉にするのは容易いが、具体的にどのような方策が採られたのであろうか。小泉がまず重視したのが「オフサイト」でのミーティング(オフサイドではなく、オフサイトである)。「離れた場所」という意味であり、職場とは異なる非日常の環境でミーティングを行うことを指す。私には耳慣れない言葉だったが、IT業界では頻繁に行われているのだそうだ。

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