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宇都宮徹壱ウェブマガジン

【ほぼ無料】7人の漫画家が集結! 障がい者サッカーTシャツ秘話 ちょんまげ隊長ツンさんが語るコロナ時代のボランティア<1/2>

 九州地方から岐阜・長野にかけて、広範囲に被害をもたらした記録的豪雨。こうした自然災害は、近年では毎年のように発生しているが、今年は被害の大きさに加えて、避難所での感染症対策も気になるところだ。そうした中、愛媛FCの非公認マスコット、一平くんが熊本への支援活動を展開している(参照)。両生類でありながら、ちょんまげ隊ファミリーの一員としても有名な一平くん。そんな彼が、隊長のツンさんに先んじて自ら動いたところに、かすかな時代の変化を感じた。

 そういえば、当のツンさんは最近、どうしているのだろう? 最後にお会いしたのはこちらの取材で東北をご一緒した2月下旬のこと。すでにこの時点でツンさんは、東日本大震災関連の追悼イベントが、ことごとく中止に追い込まれることに心を痛めていた。その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急事態宣言も全国に拡大。不要不急の移動が厳しく制限される中、ツンさんの「動いてナンボ」の活動は沈黙を余儀なくされることとなる。

 それでも、転んでもただでは起きないがツンさんの真骨頂。さまざまな試行錯誤の末に、ツンさんはリモートによる支援活動を思いつく。すなわち、サッカーをテーマにした作品で知られる7人の漫画家に、7つの障がい者サッカーのイラストを描いてもらい、それをTシャツにしてチャリティ販売するというプロジェクトである。そこで得た収益は、JIFF(日本障がい者サッカー連盟)に所属する7団体に寄付するという(Tシャツの発売予定日は7月15日)。

 なぜ障がい者サッカーTシャツという発想が生まれて、どのような紆余曲折を経て完成したのか。今回のインタビューでは、その製作秘話を中心にツンさんに語っていただいた。「相変わらず無茶するなあ」と苦笑する一方で、緊急事態宣言の間の知られざる葛藤、そしてコロナ時代のボランティアの考え方には大いにうなずくところがあった。そんなわけで本稿は、会員以外の方にも広く読んでいただくために「ほぼ無料」とした。ご覧いただいた方にはぜひ、SNSでの拡散をお願いしたい。(取材日:2020年6月24日@東京)

【2020.07.20.追記】「Jの力を信じてる2020」Tシャツのページが開設されました。ご支援いただける方は、こちらからお願いします。

<1/2>目次

*「サッカー界で一番困っている人たちって誰なんだろう?」

*7つの障がい者サッカー団体を7人の漫画家が描く意味

*二度もダメ出ししたツンさんに原副理事長が言ったこと


「サッカー界で一番困っている人たちって誰なんだろう?」

──どうもご無沙汰しています。最後にお会いしたのは、2月下旬に一緒に東北を取材した時でした。すでにあの頃から、コロナでイベントが中止になる話がちらほら出ていましたが、まさかここまで世の中が激変するとは思いもよらなかったですよね。

ツン 本当ですよね。あの東北取材の前にも、今年は1月からエチオピアの支援に行ったり、鹿児島高校で1600人に講演したり、Seeds+を連れてコンサートをする準備を進めたりしていました。「3.11」に向けて、イベントや講演もいろいろ決まって、これまで続けていたことがようやく結実していく実感があったんです。でも順風満帆な状況のなかで、どこか僕自身に奢りというか、気の緩みみたいなものがあったのかもしれないですね。

──結局、そうしたプロジェクトの多くが、キャンセルになってしまったと。

ツン というか、すべて吹っ飛びましたね。Seeds+のコンサートなんかは、半年かけて準備してきたのに中止ですよ。それに加えて、Jリーグや日本代表の試合も延期になってしまって。50年以上、生きてきましたけれど、こんなことってあるんだなと。

──本当ですよね。そうした中でスタートした、今回のTシャツプロジェクトなんですが、きっかけから教えてください。

ツン 宇都宮さんもご存じのように、僕は周囲で困っている人がいたら、できるだけ手を差し伸べたいと思うタイプの人間なんです。今回のコロナ禍では、みんな困っています。医療従事者は大変だし、子供たちは学校に行けないし、外に出られなくてみんながストレスを抱えている。みんな大変なんだけど、特にサッカー界で困っている人たちがいたら、やっぱりサッカーの仲間で助けてあげたいじゃないですか。「じゃあ、サッカー界で一番困っている人たちって誰なんだろう?」って考えたわけです。

──うーん、みんなが大変なだけに、すぐに思い浮かばないですね。

ツン そうですよね。最初は地方のJクラブかなって思っていたんですけど、岩本(義弘)さんに相談したら「 Jリーグが200億円の融資を要請しているので、そこまで困っている感じはしないかな。もっとよく考えて」と。じゃあ、JFLは? 学生は? 女子は? いろいろ考えてみたんですけど、明日をも知れないくらいに大変というわけではない。そうした時に思い出したのが、JIFFだったんですね。

──なるほど。障がい者サッカーというと、今はブラインドサッカーが最も知名度がありますけれど、他に6つの競技団体がありますよね。

ツン そうなんです。パラ競技ということもあって、資金面でもある程度の余裕があるのがブラサカですが、他の競技はどこもけっこうカツカツなんです。日の丸を背負って国際大会に出場する時も、普通に飛行機代は自腹だったりしますからね。しかも今後、リーグ戦をやるにしても、コロナ対策にいろいろお金が必要になるわけですよね。マスクとか、消毒用のアルコールとか、フェイスガードとか、どうやってボランティアの分まで調達するんだろうと。たぶんJIFFだけでは大変と思ったんです。

──なるほど、それでJIFF加盟の7つ協会への寄付を募ろうと思わったわけですね。

ツン そうなんです。本来ならば、7つの競技団体ごとにお伺いをたてるべきなんでしょうけど、そこはちょんまげ隊らしく勝手連でやっていこうと。もうひとつ考えなければならないのが、延期にはなりましたけれど、今年はパラリンピックイヤーでした。本当なら障がい者スポーツがめちゃくちゃ注目されたはずなのに、今はコロナでそれどころじゃない状況ですよね。しかも、これまでの自然災害と違って、今回のコロナではボランティアする側も大変です。でも余裕がない時こそ、障がい者サッカーのことを忘れないでほしかったんです。

──そのきっかけとなるためのTシャツだと。

ツン おっしゃるとおりです。「目に見える支援」を目指します。このTシャツを着ていたら「それ何なの?」とか「へえ、障がい者サッカーには7つの団体があるんだ」とか、そういう話題になって欲しいと思うんですよ。しかもこれ、10年くらい着ていても大丈夫な作りになっています。10年くらい語り継がれることで、草の根的にJIFFの認知度が高まっていければいいなと。そういう発想から、今回のTシャツプロジェクトが始まりました。

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