宇都宮徹壱ウェブマガジン

【ほぼ無料】7人の漫画家が集結! 障がい者サッカーTシャツ秘話 ちょんまげ隊長ツンさんが語るコロナ時代のボランティア<1/2>

7つの障がい者サッカー団体を7人の漫画家が描く意味

──今回のTシャツプロジェクトに、イラストを提供していただいた漫画家の皆さんですが、7人というのはマストだったんでしょうか?

ツン 7つの団体なので、7人の先生にお願いすることにしました。僕が継続している障がい者スポーツ体験会『MIX』では、いつも2~3種類の競技を一緒に行っているんですね。というのもJIFFでは、多様性というものをとても大切にしているんです。僕らに個々の性格があるように、障がいというのも実はさまざまなんだよっていうことを伝える必要がある。ですから、このTシャツも7つの団体があって、それを7人の漫画家先生に描いてほしい。そういう思いが、当初からありました。

──なるほど。それにしても、サッカーを描いている漫画家を7人集めるというのは、けっこう難しかったと思うのですが。

ツン おっしゃるとおり。僕的には6人までしか指が折れませんでした。高橋陽一先生、能田達規先生、髙田桂先生、今回は参加できなかったんですが千田純生先生、九州のフットボール映画祭で知り合った、『ナリキン!』という将棋とサッカーの漫画で有名な、鈴木大四郎先生、それから平畠啓史さんの本の表紙を書いている売れっ子イラストレーターのhiroki (miyauchi)先生。

──『キャプテン翼』の高橋先生をはじめ、錚々たる顔ぶれですね

ツン そうなんですよ。この件で相談した岩本さんもですが、高橋先生には日頃から本当にお世話になっています。被災地の子をワールドカップに連れて行きたい! 熊本地震の支援に協力してほしい! いつもお願いばかりです。今回だって、高橋先生が手を挙げてくれたからこそ、名立たる漫画家の先生方が安心して参加してくれたんだと思います。

──でしょうね。それで7人目は、どなたを考えていたんですか?

ツン  野間美由紀先生でした。『パズルゲーム☆はいすくーる』という作品で有名な方です。サッカーそのものの作品はないんですけど、サッカーやテニスが大好きで、Twitter上でもやりとりがありました。それでメッセージを送ろうとしたら、5月2日に亡くなられていて……

──え、まだお若かったのでは?

ツン 59歳だったそうです。お会いしたことはなかったんですけど、それでかなり凹んでしまって、これは「もう諦めろ」っていうことなのかなって思いました。

──その後、千田先生が参加できなくなり、私のほうで『フットボールネーション』の大武ユキさんを紹介させていただきました。これで、あと1人となったわけですが。

ツン いろいろ考えて思い出したのが、『少年アシベ』で有名な森下裕美先生が、電動車椅子サッカーの漫画を描いていることでした(参照)。「もしかしたら!」と思って、映画『蹴る』の中村和彦監督を通じてお願いしたらOKをいただけたんです。ようやく7人揃ったのが、5月の終わりくらいでしたね。

──それはよかった。とはいえ、7人の漫画家先生にイラストを描いてもらって、それをひとつのデザインにまとめるのが、また難しい作業だったと思いますが。

ツン おっしゃるとおりです。7人の先生からイラストが集まったのが6月12日だったんですが、そこから一気にデザインをまとめ上げないといけない。僕では無理なので(笑)、たき工房というデザイン会社にお願いすることにしました。クリエイターが200人ほどいる、業界でも5本の指に入るような会社です。以前に講演を依頼されたのがきっかけで、3年連続で一緒にネパール支援にも行きました。

──ツンさんのコネクションって、本当にすさまじいくらい拡張していますね。

ツン ありがたいことです。でも、けっこう叱られながらの作業になりました。先方も忙しい中、僕も7人の先生を見つけるのに時間がかかってしまって、しかも締め切りまでに作品がなかなか集まらない。それで「スケジュール管理がなってない!」とか「ツンさんはこの仕事を舐めている!」とか。

──映画『MARCH』を製作している時も、中村監督から同じようなことを言われましたよね(参照)

ツン いやー、本当に成長してないですよね(苦笑)。

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