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宇都宮徹壱ウェブマガジン

作家である僕がタクシードライバーになった理由 中村慎太郎(OWL magazine代表)<1/2>

 今週は当WM会員の皆さんお馴染み、OWL magazine代表の中村慎太郎さんにご登場いただく。中村さんはメルマガ時代を含めて、登場するのがこれで3回目となる。最初は作家を名乗るようになって間もない2013年、その次が書店員となったばかりの2017年。奇しくもジョブチェンジするたびに、中村さんには話を聞いている。

 そして2020年、中村さんはまたしても、思い切ったジョブチェンジを行っている。それが、タクシードライバーへの転身。しかも、コロナ禍でタクシー業界が最も厳しいタイミングで。とはいえ、これまでの中村さんのキャリアは「作家であり続けるため」という一点において、まったくの揺るぎがなかったのも事実。そこで今回、こちらの取材で車を出してもらった際、あらためて「タクシードライバーになった理由」について、ハンドルを握る中村さんに語っていただいた。

 先に種明かしをしておくと、今回の驚くべき転身の背景には、中村さんが昨年2月に立ち上げ、現在は代表を務めているOWL magazineが大きく関わっている。そのOWL magazineは今年、大きな組織改革が断行され、その活動方針もダイナミックに変わりつつある。果たして「旅とフットボール」を紡ぐ、この野心的なメディアは、どんな方向に向かっていくのだろうか。その点についても、ぜひ注目していただきたい。(取材日:2020年6月20日@東京)

【編集部註】本稿で使用されている写真は、タクシーでの業務外で撮影されたものです。

<1/2>目次

*「身体は拘束されても脳は拘束されない」仕事

*意外にも試験で苦戦。3週間で二種免許を取得

*ボランチのような技能が求められるドライバー

「身体は拘束されても脳は拘束されない」仕事

──今日はよろしくおねがいします。今年の3月、タクシードライバーとしてデビューして3カ月ということですが、どのあたりにご自身で変化を感じますか?

中村 一番大きな変化が、安全についてですね。というのも、タクシードライバーは交通戦争に常に巻き込まれているので、事故を起こす危険性と背中合わせだからです。自分の命や健康はもちろん、事故を起こすと収入面でもインパクトが大きいです。それだけならまだいいのですが、お客様の命を預かる仕事なので、責任は大きいです。体調やメンタルの管理が、日常生活の最優先事項になりました。ちゃんと休むときは休むし、大好きなお酒もかなりセーブするようになりました。

──そういえば、ゴールデン街に関するツイートも激減しましたよね(笑)。収入面では安定しました?

中村 収入に関しては、思い切りコロナの影響を受けました。タクシードライバーって、本来はそこそこ稼げるんですよ。人によっては、月50万円ぐらい軽く稼ぎます。だけど緊急事態宣言以降は、かなり稼いでいたベテランさんでも10万円程度まで落ちてしまったという話も聞きました。先日、会社の先輩と話していたら「家族もいるので借金をするしかなかった」と言っていましたね。コロナショックで、今は「仕事があるだけまし」という感じですかね。

──コロナの話は、またあらためて伺うとして、そもそもタクシードライバーになった経緯を教えてください。きっかけは何だったのでしょうか?

中村 一番のきっかけは、自分が主催するOWL magazineです。そこで上手くいったことと上手くいかなかったこと、両方が原因でした。

──それは気になる話ですね。まず、上手くいったことは?

中村 会員をある程度、増やせた事です。そこそこ入ってくれて、当面は継続していけるだろうと。加えて、OWL発のタレントがどんどん出てきて、書き手の育成ができるメディアになってきました。どんどん新しいチャレンジができそうな気配もありますので、ここでやめるわけにはいかないということは常に思っています。

 一方、上手くいっていない部分としては、自分自身が食えているかというと、そこまでいけていないと。何か別の仕事をしたほうがいいのかなと。OWL magazineは僕以外みんな兼業だったので、僕もそうしてみようかなと思ったのが最初です。で、何の仕事をするかについてなのですが、以前に書店業をやった時は、とにかく人間関係が大変だったんですよ。でも、タクシーの場合でしたら、基本的に職場で人に関わることはほとんどありません。

──まあ、そうでしょうけど。嫌な客と遭遇することはありますよね?

中村 それはあります。でも、うまくいかなかったお客様がいても、基本的に二度と会わないですから。ですので、人間関係においてはストレスがゼロ。接客する以外は基本的にひとりですから、いろいろ考える余地もありますし、素晴らしいアイデアが生まれることもあります。身体は拘束されますが、脳は拘束されない仕事なんですよね。

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