宇都宮徹壱ウェブマガジン

もっと評価されてよい「沼田社長時代」の12年 水戸ホーリーホックが気になって仕方がない理由

 またしてもJリーグが土壇場で中止になってしまった。8月2日19時キックオフ予定だった、J2リーグ第9節の大宮アルディージャvsアビスパ福岡。私がその情報を知ったのは17時30分頃、ケーズデンキスタジアム水戸でスタグルの行列に並んでいた時のことである。その後、Jリーグの村井満チェアマンと当該クラブ社長による緊急会見が行われ、その主旨をこちらのツイートにまとめて発信した。

 ツイートにも書いたとおり、このタイミングで福岡の選手に「陽性の可能性が高い」との判定がなされたのは、たまたま前日にU-19日本代表合宿でFC町田ゼルビア所属の選手に陽性反応が出たのがきっかけである(その後、合宿の中止が決定)。この一件がなければ、Jリーグが7月31日に採取した検体の判定を急がせることはなかったはずだ。翌日になって福岡は、キャプテンの前寛之の感染確認を発表。同選手はスタメンに名を連ねており、関係者の思いはさぞかし複雑であっただろうと察する。

 先週、名古屋グランパスの件で書いたコラムには、多くの反響をいただいた。ありがたいと思う反面、自分の提言が「本当に届いてほしい人たちに届いていないのでは?」という疑念を払拭できず、いささか落ち込んでいる。私のような立場の者でさえ無力感を覚えるのだから、Jリーグの苦悩はいかばかりであろうか。2週間に一度行われているPCR検査や、綿密に作り込まれた感染防止のガイドラインについても、今後さらなる見直しや改正がなされることは間違いないだろう。引き続き、推移を見守ることにしたい。

 ところで今回なぜ、私は水戸のホームゲームを訪れていたのか、あらためて説明しておきたい。実は私にとって水戸は、定期的にウォッチしてきたクラブのひとつであった。最初に取材したのが、スポナビで連載していた『J2漫遊記』がスタートして間もない2012年。その後も「ベトナムのメッシ」グエン・コンフォンを期限付きで獲得した16年、クラブハウス兼トレーニング施設のアツマーレが完成した18年にも、現地取材を敢行している。そして今回のテーマはズバリ「社長交代」であった。

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