錦糸町フットボール義勇軍に「解散はない!」理由 ロック総統が語る「コロナ禍での革命」<2/2>
<2/2>目次
*「サッカーもたぶん、スパッと離れられると思いますよ」
*中田英寿の「TAKE ACTION」と新しい革命のあり方
*コロナによってクラブ間のヒエラルキーが固定化される?
■「サッカーもたぶん、スパッと離れられると思いますよ」
──ところで錦糸町フットボール義勇軍って、今はどうなっているんですか?
総統 「開店休業中」と言ったらかっこいいですけど、今はメンバーがそれぞれやりたい方向でやっている感じですね。オットナー参謀長は『シュウアケイレブン』で気を吐いていますし、ライト曹長は『MILKサッカーアカデミー東京校』の塾生として見識を深めています。私は、何となくフェードアウトしている感じですけど、また3人揃えば何かが始まるかもしれない。だから「解散」というわけではないです。
──解散ではなく「散開」と言ったYMOみたいですね(笑)。
総統 その昭和うんちく! いいですね。もともとサッカー好きのユニットKFGだったので、音楽好きのユニットYMOはぴったりです。参謀長は見てくれが高橋幸宏チックですよね。そうすると奇抜な私が坂本龍一ですかね……。ライトくんは細野晴臣かあ~。ちょっと顔つきが違うな。いや、無理やり合わせる必要は無いか(笑)。
──これからは総統でなく「教授」と呼びましょうか(笑)。実は緊急事態宣言の間、久々に『KFG蹴球文化論』を壱から参まで読み返したんですよ。コンテンツそのものは2014年から始まっていて、サッカーの世界で6年前ってかなり古びてしまうんですけど、KFGについてはまったくそんな感じはしませんでした。むしろこのコロナ禍だからこそ、いろいろと符合するものを感じるところがあって、それで今回あらためて総統に話を聞こうと思った次第です。
総統 私もあらためて読み直しました。いや~、実に良いこと書いてありますよね(笑)。皆さんぜひ買ってください。でも実際、鳥栖の件がわかりやすいけれど、われわれがこの本で主張してきたことって、あまり解決されていないんだなって思いました。われわれが見ていた風景は、実はほとんど変わっていないんですよ。
──ある程度は覚悟していたんですが、サッカーに関する総統のコメントには、何か諦念めいたものがにじみ出ていますね。
総統 前も言ったかもしれないですけど、競技としてのサッカーって、実はあまり好きじゃないのかもしれないです。選手のプレーとかチームの戦術とか、勝ち負けがサッカーの面白さのすべてではないですから。私自身はサッカーを取り巻く文化とか、興行としてのサッカーが成立させている構造とか、あとは芝とかスタジアムの建築構造とか(笑)、そっちのほうに興味があるんですね。だからこそ、本当に理想的な日本サッカーのあり方というものを追い求めてきたんです。でも今回のコロナの騒動で、なんか醒めてしまっている自分に気づいてしまったんですよ。
──それまで情熱を注いでいたものが、ふとしたことがきっかけで醒めてしまうことって、今までにもありましたか?
総統 競馬がそうでしたね。1995年の6月4日の宝塚記念で、ライスシャワーという名馬がレース中に骨折してしまって、安楽死させられたのがきっかけでした。それまで私にとっての競馬って、単なる趣味とかではなく、かなり筋金入りで夢中になっていたんです。上京したタイミングで競馬ブームがあって、私はオグリキャップの世代だったんですけど、実は曽祖父が戦前、宮崎で馬の生産や調教師をやっていたんです。だから子供の頃から馬は身近な存在で、調教助手になろうと思って競馬学校を受けたぐらいですから。
──ええ? 総統にそんな過去があったとは知りませんでした!
総統 もっと言うと、最初は騎手になろうと思っていたくらいで。実は身長と体重と年齢は、武豊と一緒なんです。昭和44年(1969年)生まれの身長171センチで体重50キロ、年収は500倍ぐらい違いますけど(笑)。ただし騎手になるには、競馬学校の受験資格の年齢制限があるんですよね。受けようと思ったときは無理で、調教助手だったら一度だけ受験資格があったんです。そのために乗馬を習い始めたり、試験前には『あしたのジョー』みたいに減量したり。それこそ1日1食、りんごだけみたいな。
──いやー、初めて知る話ばかりです。それで、どうなりました?
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