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たとえコロナ禍でも「クラブがやるべきことは変わらない」 ファジアーノ岡山 北川真也社長が考える非常時の経営<2/2>

たとえコロナ禍でも「クラブがやるべきことは変わらない」 ファジアーノ岡山 北川真也社長が考える非常時の経営<1/2>

<2/2>目次

YouTubeチャンネルには「まだまだ伸びしろがある」

*ファジフーズは18年から完全キャッシュレス制に

*応援スタイルとチケット販売に不安はあるけれど

YouTubeチャンネルには「まだまだ伸びしろがある」

──先ほどお話にありましたファジフーズデリバリーですけど、ただファジフーズを自宅に届けるだけでなく、地元タクシー会社と組んだことが非常に面白いと感じました。このアイデアは、どこから出てきたのでしょうか?

北川 発案したのはファジフーズの担当者です。もともとウチは、地元のタクシー会社とも非常に懇意にしていただいていて、近いうちに貨物自動車運送事業法が変わるという話を聞いていたんです。これまでは人を運ぶことしかできなかったのが、今年の5月からはモノも運べるようになるという情報をキャッチしていたんですね。だったら法律が変わるタイミングで、タクシーを使ったデリバリーを始めようと。

──もともと、そういう情報をキャッチしていたところで、今回のコロナ禍が起こったと。ものすごいタイミングですね!

北川 そうですね。緊急事態宣言になって、タクシーもほとんど稼働していなかったし、飲食業の皆さんも困っている。これを一緒にしてしまえば、多少は地域にも貢献できるんじゃないかと、ファジフーズの担当者が考えてくれたんですね。最初は短期的な法律改正だったんですが、今後も延長されるという情報もあったので「これは無観客試合やアウェーの時にも使える」ということになったんです。

 先ほどお話しましたように、要はリアルで積み重ねてきたことをデジタル、もしくはバーチャルに置き換えるだけだと考えています。スタジアム観戦であれDAZN観戦であれ、試合前にファジフーズが目の前に並んでいて、その状況をSNSで発信したら抽選で景品も当たるわけです。そういう状況を自宅に居ながら味わえるというのは、これはこれでありなんじゃないかって、考えるようになりましたね。

──試合が再開してからのリモートマッチについて、ファンの反応はいかがでしょうか?

北川 YouTubeチャンネルでの反応を見る限り、だいたい想定内といったところですね。先日、生配信をしたら950人の方に見ていただけました。ただし、ヴァンフォーレ甲府では1万3000人くらい、V・ファーレン長崎だったら3万人近い方々に見てもらえているそうです。明らかに、桁が違うんですよね。逆に言えば、われわれはリアルからデジタルに移行したばかりで、まだまだ伸びしろはあるとも感じています。

──すみません、ファジアーノのYouTubeチャンネルの存在は知りませんでした(苦笑)。

北川 正直、まだちゃんと力を入れていないのが現状ですね(笑)。とりあえず、ハイライトだけしか流してなかったので、今後はテコ入れしていくつもりです。ただ、試合がある時には1000人近いお客様に、スタジアムのグッズショップで楽しんでいただいているんです。それに近い数の方に、今の状態でYouTubeチャンネルを楽しんでいただけていることは、かなりのビジネスチャンスになると捉えています。

──ファジアーノの人気を考えれば、YouTubeチャンネルでの集客は十分に可能性があると思います。問題は人的リソースですよね。

(残り 3990文字/全文: 5407文字)

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