宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】あの日、あの取材をあの場所で(2010年9月12日 松本山雅FCvsV・ファーレン長崎@松本)

 今から10年前の9月12日、アルウィンで松本山雅FCとV・ファーレン長崎のゲームを取材。J2ではお馴染みの両者だが、この時はJFLだった。優勝に絡むカードではなかったので、単純に個人的な思い入れからチョイスしたのだろう。

 試合は49分に長崎の有光亮太がPKによるゴールで先制。しばらく長崎が圧倒していたが、山雅は69分に鐡戸裕史のFKを須藤右介が押し込んで同点とした。終了間際には、山雅の弦巻健人と長崎の藤井大輔が相次いで退場。やや荒れ気味の展開となったが、結局1-1のドローに終わり、両者は勝ち点1を分け合った。

 この2010シーズンのJFLの順位表を見ると、いろいろ興味深い。18チームが参加し、優勝したのはガイナーレ鳥取。2年連続で5位に終わり「ゴイナーレ」と揶揄されていたが、この年はぶっちぎりでJFLを制して悲願のJ2昇格を果たした。

 他に、FC町田ゼルビア、ブラウブリッツ秋田、ツエーゲン金沢、FC琉球といった、のちのJクラブの名も。一方、SAGAWA SHIGA FCや佐川印刷SCやジェフリザーブズやアルテ高崎など、今は無きクラブの名前にも深い感慨を覚える。J3が創設されるのは、この4年後。今にして思えば、JFLが最も充実していた時代だったのかもしれない。

 この試合での個人的な一番の収穫は、須藤の同点弾の直後に山雅のゴール裏を捉えた、こちらの写真。しばらくは撮ったことも忘れていたが、2年後に上梓された『松本山雅劇場 松田直樹がいたシーズン』のカバーを飾ることとなる。余談ながら、この試合の入場者数は4339人だった。

<この稿、了>

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