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宇都宮徹壱ウェブマガジン

記者としてオシムさんから学んだこと 塩畑大輔(LINE株式会社)<1/2>

 意図していたわけではないが、このところ当WMではビジネス系のゲストが続いた。今回は久々に、書き手の方にご登場いただくことにしよう。私がかねてより気になっていた、LINE株式会社の塩畑大輔さんである。塩畑さんは1977年生まれで、茨城県笠間市の出身。2002年に日刊スポーツ新聞社に入社し、サッカー、ゴルフ、野球などを担当。17年にLINE株式会社に転職し、現在はポータルカンパニー編集企画に所属している。

 私が塩畑さんの存在を初めて意識したのは、浦和レッズの阿部勇樹選手がサラエボのイビチャ・オシムさんに会いに行くというこちらの記事。その後、塩畑さんのnoteの記事を何度か目にする機会があり、書き手としてのユニークな立ち位置に興味を抱くようになった。

 塩畑さんのユニークさは、大きく3点。まず、元スポーツ紙記者らしからぬ、オリジナルな文体を持っていること。次に、スポーツ紙からプラットフォームに転身したこと(それはすなわち「今後は記事が書けない」ことを意味する)。そしてnoteで書く記事が、いずれもスピードではなく「深み」に重きを置いていること。速さと数字ばかりが重視される、最近のネットメディアにおいて、塩畑さんの書くものはひとつひとつが異彩を放っている。

 塩畑さんの立ち位置を理解する上で、大きなヒントとなるのが、ジェフ千葉の監督時代に出会ったオシムさんの存在。この偉大な指導者との邂逅が、塩畑さんのキャリアに大きな影響を与え、さらには書き手としての自立を促していく。今回のインタビューでは、ご自身のユニークな経歴に加えて、LINEというプラットフォームから今のサッカー報道がどう見えるのかについても、独自の視点から語っていただいた。

 なお今回のインタビューの実現には、オシムさんの代表監督時代の通訳だった、千田善さんのアシストが不可欠であった。この場を借りて御礼を申し上げたい。(取材日:2020年9月28日@東京)

<1/2>目次

*やべっちFC終了がサッカー界にもたらすもの

*ジェフ千葉担当から日本代表担当へ大抜擢

*なぜスポーツ紙の文化に染まらなかったのか?

やべっちFC終了がサッカー界にもたらすもの

──今日はよろしくお願いします。いただいたお名刺には「LINE株式会社 ポータルカンパニー編集企画」とあります。まずはポータルカンパニーについて教えてください。

塩畑 ポータルカンパニーというのは、LINE NEWSlivedoorニュース、 BLOGOSといったメディアをまとめて担当する部署です。僕は2017年の6月に日刊スポーツ新聞社からLINE NEWSに移ってきて、最初に配属されたのはLINE NEWSのトップページに掲載するニュースの選定をする部署でした。基本的に「記事を書かない」という前提での転職だったんです。

──なぜスポーツ紙から「記事を書かない」前提でLINEに転職されたのか。そのあたりの経緯はのちほど伺うとして、ちょうど昨日の夜に「やべっちFC終了」に関するツイートが興味深かったです(参照)。塩畑さんは、情報を発信する側の人間として、今回の件に少なからぬ危惧を抱いているように感じました。あらためて、その理由について語っていただきたいのですが。

塩畑 もともと僕自身、サッカーの取材が長くて、8年くらい担当していました。野球やゴルフも取材しましたが、サッカーについては特に「絶対的なもの」で「応援されて当然」という感覚だったんです。でもLINEに移ってからは、サッカーどころかスポーツ自体が、僕が考えていたほどは読まれていないということを実感するようになりました。

 LINEの場合、LINEメッセージのやりとりをする間にニュースが読まれることが多いのですが、そこで最も多く読まれているのは、残念ながらスポーツではありません。いわゆる芸能ネタの話題の方がPVの多くを占めているんです。

──スポーツは厳しいですか?

塩畑 芸能系の話題に比べると、読まれていません。ただ同じスポーツでも、野球については「サッカーなどの他競技の人気に押されて競技人口が減っている」という危機感を訴える声が多い割には、読まれているという印象はあります。10代などの若い読者も、思ったよりも(数字が)取れているような気はします。

──つまり野球のほうが、サッカーよりもファンのアップデートができていると。どのあたりに差があるのでしょうか?

塩畑 一番はやっぱり、タッチポイントが多いことだと思います。試合数もそうですし、地上波で見る機会もサッカーと比べて多い。確かに野球中継は、以前と比べて減りましたけど、それでもサッカーと比べればまだまだ露出はありますよね。加えてサッカーは「一見さんお断り」という空気も、少なからずあるのかなと。

 そういう状況の中、やべっちFCのような番組の存在は、すごく貴重なものだったわけですよ。確かに深い時間帯でのOAでしたが、それでも地上波でサッカー番組がある意味は大きかったですし、番組の中でもDAZNCMをやっていたじゃないですか。もちろん、DAZNに加入すればJリーグ中継は見られますけれど、ライト層が加入に至るまでの道のりって長いですよね。その意味で、やべっちFCの穴をどうやって埋め合わせるのか、ものすごく気になっています。僕自身、サッカーも大好きですから、余計に危機感を覚えますね。

(残り 3665文字/全文: 5864文字)

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