宇都宮徹壱ウェブマガジン

あらためて新潟の社長交代について考えてみる 若く有望な前社長の判断を狂わせたものは何か

 先週は国内サッカーに関して3つ、残念な出来事があった。まずはルヴァンカップ決勝が、ファイナリストである柏レイソルでクラスターが発生したことにより「中止」となったこと。ホームで1-5で負けたり、17戦勝利がなかったり、散々な週末を過ごしたサポーターがいることは承知している。それでも、コロナ禍で試合が行われないことに比べれば、結果に一喜一憂できるのは幸せなことだと私は思う。決勝の代替日については、年明けという選択肢もあるようで、そうなれば来季の日程への影響は必至だろう。

 次に、このところ目につくサッカー界のゴシップ記事が、こともあろうに「サッカー批評」の名を冠したメディアから発信されていたこと。フットボール批評と袂を分かつ以前、サッカー批評といえば、そこに寄稿することが書き手のステイタスだった時代があった。私自身、雑誌を立ち上げた双葉社の真井新さん(故人)と編集長の半田雄一さんに、一方ならぬ恩義を感じている。そんな思い入れのある雑誌のWeb版が、PV稼ぎが目的としか思えない記事を連発していることを知り、無性に悲しい気分になってしまった。

 そうした一連のゴシップ記事の影響かどうかはわからないが、先週の金曜日、アルビレックス新潟の是永大輔社長の辞任が発表された。これが先週3つ目の残念な出来事。この発表がある直前まで、私は「是永社長は踏みとどまるのではないか」というかすかな期待を寄せていた。しかし、後任社長となった中野幸夫氏によれば、辞任の意向は11月1日に受け取っていたという。なぜ是永氏は、志半ばでクラブ社長を辞する決断をしたのか。なるべく冷静な心持ちで、この機会に考察してみることにしたい。

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