宇都宮徹壱ウェブマガジン

終盤戦のJリーグに影を落とす「第3波」 政府と自治体との認識の違いを憂慮する

 本題に入る前に、まずは徹壱堂店主からのお知らせ。

『フットボール風土記』発売以降、予約販売でお買い上げいただいた方の中から「まだ届かないんですけど」というお問い合わせをいただいております。第1回の予約受付が先月24日だったので、しびれを切らしている方もいらっしゃることでしょう。とはいえ店主も、月曜日に長旅から戻って、版元から書籍を受け取ったばかり。第1回と第2回分は本日18日に、第3回分以降は地域CL取材から戻った25日に発送予定です。心のこもったサインを入れてお届けしますので、もう少しお待ちいただけますよう、伏してお願い申し上げます。

 さて、今年2度目となる9泊10日の国内取材では、中四国地方をぐるりと回ってきた。J1リーグ1試合、JFL2試合、そして天皇杯1試合を取材。幸いにして取材中は好天続きで、雨に振られた日は一度としてなかった。そしてさらに幸いなことに、いずれの試合もコロナ禍の影響を受けず、無事に開催されることとなった──。そう、われわれ取材者やファン・サポーターは、今年は天気のみならず、コロナで試合が中止になるリスクを常に頭に入れながら、注意深く行動しなければならない。

 11月15日、J2の愛媛FC対ヴァンフォーレ甲府の試合が、当日になって中止が発表された(代替開催日は12月9日に決定)。所属選手1名の陽性反応が発覚。保健所により選手4名、スタッフ1名が濃厚接触者と判断されたためである。とはいえ、鹿島アントラーズは選手1名が感染(濃厚接触者6名)、ジュビロ磐田も選手1名に陽性反応が出たが(こちらは濃厚接触者1名)、いずれも直近のリーグ戦を行っている。しかし今回は、柏レイソルのクラスターで延期が決まったルヴァンカップ決勝以降、初の中止となってしまった。

 一番のポイントは、感染者や濃厚接触者の数以上に、県知事からクラブに対して「中止の強い要請」があったことである。Jリーグの観戦ガイドラインの《プロトコル1:感染予防と、感染への対処》には「国や自治体の指導に従う(社会の感染状況に応じた判断を行う」という一文が明記されている。愛媛県の中村時広知事は、過去のブログを見る限り、地元のスポーツクラブにはかなり好意的な印象を受ける。感情論抜きで、自治体トップの責任で判断したのは間違いない。もちろん、さまざまな意見はあるだろうが、中止に至った決断は尊重されるべきであろう。

(残り 1640文字/全文: 2636文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ