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世界一から10年、女子サッカーの今を考える 石井和裕(WE Love女子サッカーマガジン主筆)

なぜ今、女子サッカーメディアを立ち上げるのか 石井和裕(WE Love女子サッカーマガジン主筆)

 今週は『WE Love女子サッカーマガジン』(以下、女子サカマガ)の主筆、石井和裕さんにご登場いただいている。女子サカマガの立ち上げについて語っていただいた動画篇に続き、テキスト篇でのテーマは「日本の女子サッカーを取り巻く状況について」。早いもので、なでしこジャパンがワールドカップで優勝してから、来年で10年になる。この間、日本の女子サッカー界は何が変わり、何が変わらなかったのだろうか。

 テキスト篇では、この疑問から石井さんのインタビューを進めていく。なでしこジャパンの10年の軌跡については、女子サッカーの熱心なウォッチャーでなくても、そのアウトラインは把握しているだろう。しかし、女子サッカー(あるいは女性アスリート)を取り巻く状況については、あまり知られていないのが実情ではないか。石井さんへのインタビューを終えて、そんな思いを新たにしている。

 石井さんの女子サカマガは、単にピッチ上の現象のみならず、ソーシャルな視点からも女子サッカーや女性アスリートについて考察しているのが特徴。ここ最近、ジェンダーやフェミニズムやLGBTに関する議論が活発化する中、なぜか日本のスポーツ界はこの話題に背を向けてきたように感じられてならない。そうした空気に一石を投じるメディアとして、今後も女子サカマガを注目していきたいと思う。(収録:2020年10月6日@東京)

目次

*日本の女性アスリートの地位は何も変わっていない

WEリーグから「ミーガン・ラピノー」は生まれるか

*「もっとこうしたらハッピーになれるんじゃないか」


日本の女性アスリートの地位は何も変わっていない

──来年は東日本大震災から、ちょうど10年。ということは、なでしこジャパンのワールドカップ優勝から10年ということにもなります。女子サッカーに関して、この10年でどういう変化があったと石井さんはお考えでしょうか?

石井 この10年で、僕自身の人生も相当に変わっちゃいましたけどね(笑)。女子サッカーについて言えば、変わったところと変わってないところ、両面あると思います。変わったところで言うと、プレーヤーの地位が劇的に上がったということ。たとえば2011年以前で言うと、女子の移籍ってすごく大変だったんですよ。仕事の問題もあったから。

──昔、川上直子がTASAKIペルーレから日テレ・ベレーザに移籍したのが印象に残っていますが、それ以外の事例はほとんど記憶にないですね。

石井 彼女以外にも移籍した選手はいましたけど、プレーを続けるために違う土地に行っても、そこで仕事が確保できるかわからないという状況がありました。でも今は、当たり前のように選手は移籍できますよね。つまりそれだけ、女子サッカー選手の地位が上がったということです。

──それはやはり、ワールドカップ優勝の影響なんでしょうか?

石井 間違いなくありますね。あの優勝によって、女子サッカーの注目度が上がって「是非、ウチの会社で働いてください」という流れが生まれたんですよ。今はなでしこリーグの1部・2部だけでなく、チャレンジリーグのクラブでも、きちんと仕事を紹介してもらえるようになりました。個々の選手の雇用だけでなく、女子サッカーそのものを支援する企業も増えましたよね。代表的なところで言うと、ノジマとか、ちふれ化粧品とか。そういった、そこそこ大きな企業が、なでしこの優勝後に本格的に入ってきていますよね。

──確かに。では、変わらなかった部分でいうと?

石井 これはサッカーに限らないですけど、やはり女子スポーツそのものであったり、選手であったりのポジションでしょうね。たとえば、日米の女子サッカーのレジェンドを比べてみると、わかりやすいですよ。澤穂希さんの日本における扱いって、アメリカのミア・ハムさんに比べると非常に低いと言わざるを得ない。

──ミア・ハムといえば、90年代から00年代のレジェンドで、引退後はビジネスの世界にも進出しているそうですが。

石井 そうです。今度、ロサンゼルスでスタートする新しい女子サッカークラブ、エンジェルフットボールクラブの出資者です。彼女は財団の要職にも就いているんですよね。それに対して澤さんは、女子スポーツの功労者という扱いになっていますけれど、アメリカのレジェンドに比べれば、違いは一目瞭然ですよね。女性アスリートのポジションというものが、アメリカやヨーロッパと比べると、著しく低いままなのが今の日本。TVでの扱いなんか見ていても、可愛そうだなと思うことが多々あります。

──ちなみに、同じ元なでしこの丸山桂里奈さんのケースって、石井さんはどうご覧になっています?

石井 丸山さんは、好きでやっている感じがするからね(笑)。あれは個性だし、ご自身も女子サッカーのためになると思ってやっているみたいですから、僕はありだと思っています。ただ、柔道とかレスリングとかの女性アスリートがバラエティに出演して、お笑いタレントが立ち向かって返り討ちに遭うパターンとか、今でもあるじゃないですか。そういうのを見ていると「変わってないな」って思ってしまいます。

──そうした中、永里優季選手が神奈川県2部の男子チームに入団したニュースが、FIFAニュースをはじめ世界的に報じられました。今回のケースは、わが国における女子サッカーをめぐる状況に、一石を投じる可能性がありますね。

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