宇都宮徹壱ウェブマガジン

「百年に一度のチャンス」ではあるけれど 今年の天皇杯を「手弁当」で取材する理由

 今年最後の国内取材の出発を明日に控えて、このコラムを書いている。今回の目的地は、熊本、佐賀、大分、福岡、そして山口。取材する試合は、J1とJ2とJ3が1試合ずつ、そして天皇杯4回戦(ヴェルスパ大分vsHonda FC)が1試合となっている。今回、九州を中心に回るのは、まず天皇杯4回戦で最も魅力的なカードをチョイス(JFL現チャンピオンと前チャンピオンとの対戦だ)。併せて、来年上梓する写真集案件で、追加撮影が必要な県にも足を伸ばそうと考えたからだ。

 新著『フットボール風土記』を無事に上梓してからは、それまで都内で引きこもっていた状態から一転、積極的に地方取材を続けている。「あのクラブの試合が見たい」という狙いも、ないわけではない。だが、それ以上に重視しているのが、47都道府県の「フットボールのある風景」を撮影すること。もちろん、ただ闇雲に移動していても、効率が悪くなるばかりだ。そこで補助線となっているのが、今年の天皇杯である。

 あらためて、今年の天皇杯のシステムをおさらいしておこう。参加チームは当初の88から52に縮小。52チームの内訳は、47都道府県代表+アマチュアシード(Honda FC)、それにJ2J3の各1位チーム、そしてJ1の1位・2位チームである。すでにJ1では川崎フロンターレが、J3ではブラウブリッツ秋田が優勝を決めており、この2チームは、それぞれ準決勝と準々決勝からの出場が決定。残る2チームについては、J2のヴォルティス徳島が優勝目前、J1の2位争いはガンバ大阪が一歩リードしている状況だ。

 このJクラブ勢と対戦できるアマチュアチームは、48チーム中わずか2チーム。その決定方法は、今大会ならではのユニークなものであった。まず、トーナメントの8つの山を、北海道・東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州にブロック化。1回戦から3回戦の間に、各ブロック(=地域)の代表が決定する仕組みになっている。もちろん、地域ごとのチーム数はバラバラ。関東や九州は8チームあるのに対し、四国は半分の4チームしかない。そこはシードを上手く利用して、3回戦終了後にベスト8がきれいに揃う形になっている。

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