宇都宮徹壱ウェブマガジン

2021年1月4日というターニングポイント ルヴァン杯決勝から東京五輪への不透明な道筋

 新しい年が明けて間もない1月4日は、日本サッカー界のみならずスポーツ界全体にとって、ターニングポイントとなっていたのかもしれない──。2021年最初のコラムは、この件について論じてみたいと思う。

 まず、われわれサッカーファンにとっての1月4日は、いうまでもなく2020JリーグYBCルヴァンカップ決勝の日であった。FC東京の11年ぶり3回目の優勝で終わった、ファイナルの内容については、今さら多くを語る必要はないだろう。あらためて思い起こすのが、今季のルヴァンカップはリーグ戦開幕に先立ち、昨年2月16日にスタートしていたということだ。そして決勝は今年の1月4日。コロナ禍による中断期間とレギュレーション変更、そして決勝の延期もあり、今大会は実に11カ月の長きにわたって開催されたことになる。

 グループステージの半分、そしてプレーオフステージが取りやめになったものの、ともあれルヴァンカップは無事に閉幕。そして艱難辛苦の末に、2020年のJリーグもコンプリートと相成った。ある意味、タイトル以上の重みが感じられる偉業である。試合後の表彰式では、村井満チェアマンが何事もなかったように粛々とプレゼンターの役割をこなしていたが、その胸中はいかばかりであったか。2021年1月4日は、優勝したFC東京の関係者のみならず、Jリーグに関わるすべての人々に達成感が感じられる一日となった。

 一方、スポーツ界全体で見ると、1月4日は東京五輪開幕のジャスト200日前。もっとも日本国民の心が、カウントダウンの熱気で高揚することはなかった。同日、菅義偉首相が、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象とした緊急事態宣言を発出する考えを表明。5日前の大晦日、東京の感染者数は1000人の大台を超え(1337人)、もはや700人とか800人という数字にはまったく驚かなくなった。それでも、このタイミングで緊急事態宣言となれば、五輪開催に向けてネガティブな空気が蔓延するのは必至である。

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