宇都宮徹壱ウェブマガジン

これからは「アンダー」ではなく「ハーフウェイ」で あらためてJリーグ以下のカテゴリーについて考える

 2月になった。シーズン開幕を控え、同業者がキャンプ地で取材を続ける中、先月の福山取材を除いてずっと都内で仕事をしている。そのほとんどは、いわゆる「アンダーカテゴリー」に関する仕事だった。福山シティFCの執筆だけでなく、クリアソン新宿の小林祐三選手へのインタビュー、さらにはYouTubeMILKサッカーアカデミー東京校(ミルアカ)にて、『フットボール風土記』について1時間にわたって語り倒すなど、何かと充実した日々を過ごしていた。

 そのミルアカで私は、ある重要な発言をしている。要約して言うと、今後はJリーグ以下のカテゴリーについて「アンダー(カテゴリー)」ではなく「ハーフウェイ(カテゴリー)」と呼ぶことにする──というもの。長年にわたって取材してきた、JFLや地域リーグや都道府県リーグについて、最近の私は「日本サッカー界のピラミッドの中腹あたり」という表現をしている。「中腹」を英訳すると、ハーフウェイ(halfway)。ハーフウェイラインという、サッカー用語を思い出せば「なるほど」と思うだろう。

 逆に「アンダーカテゴリー」という表現は、何かと誤解を与えかねないことが気になっていた。まず「アンダー」というと、育成の話と混同されやすい(U-15とかU-17とか)。加えて、Jリーグ以下を一緒くたに「アンダー」というのも乱暴な話だし、そもそも「JFLJ3よりも本当に下なのか?」という素朴な疑問も浮かぶ。もちろん、カテゴリーの上位・下位というという客観的な事実は否定しようがない。が、カテゴリーというものは地域性と同様の「違い」でしかなく、価値の優劣を示すものでもないと私は思うのである。

 もちろん最初から、そういった思いが私の中にあったわけではない。『股旅フットボール』の取材時、私は「上を目指す」地域リーグのクラブばかりを見てきた。それが『サッカーおくのほそ道』で、あえて上を目指さない企業チームの存在意義を知り、さらに『フットボール風土記』では、カテゴリーよりも地域や土地に意識が向くようになった。大切なのは、上を目指す(あるいは目指さない)ことよりも、実は地域性なのではないか? その事実に気づくのに、私は10年以上を要してしまった。

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