宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ有料オンラインコミュニティを始めるのか? ハーフウェイを盛り上げる「ハフコミ」開設宣言

 昨夜開催したウェビナーでも発表したが、このたび有料オンラインコミュニティを開設することとなった。このことについて、オーナーである宇都宮が何を考えているのか、何を目指しているのかについて、今週はお伝えしたい。もしかしたら「ライターの仕事が減ったので、信者ビジネスでも始めるのか?」と揶揄する向きもあるかもしれない。確かに私が、ライターという仕事に限界を感じているのは事実だ。しかしながら今回の決断で、私が第一に考えているのは日本サッカー界に対する、自分なりの貢献のあり方である(これについては有料部分で後述する)。

ハーフウェイオンラインコミュニティ(略称ハフコミ)

 これが、有料オンラインコミュニティの正式名称である。「ハーフウェイ」は前回のコラムで書いたとおり、日本サッカーのピラミッドの中腹(Halfway)を意味し、ここではJFLと地域リーグ、さらには都府県リーグや北海道のブロックリーグを想定している。そしてオーナーを前面に押し出す「サロン」ではなく、会員同士の「コミュニティ」の場であることを明確化。また、コロナ禍によって定着した「オンライン」によるコミュニケーションをメインとする。ハーフウェイオンラインコミュニティという命名には、そうした意味合いが込められている。

 この発想のきっかけとなったのは、ハーフウェイカテゴリーに属するクラブが、思いのほか「孤立している」ことに気づいたからだ。周知のとおり、Jリーグには実行委員会というものがあり、J1からJ3の全クラブの代表者は顔見知りである。もちろん試合となればガチだが、それ以外では仲間意識の方が強く、課題解決のための情報共有にも積極的だ。ところがJFL以下となると、これがなかなか難しい。リーグ運営のための会議はあるが、上を目指すクラブとそうでないクラブとの間には、微妙な温度差もある。よって各クラブは、今流行りの「自助」を強いられているのが実情だ。

 かく言う私自身は、ハーフウェイのクラブを取材するようになって、早16年。その間、このカテゴリーの書籍を3冊、上梓している。それなりにオーソリティと目されるようになり、取材先で逆取材を受けることも少なくない。横方向(クラブ間、地域間)と縦方向(カテゴリー間、世代間)、自在に行き来するうちに自然と人脈も広がり、人と人とをつなげる機会も増えていった。ならば、自分自身をハブにしたコミュニティを作って、ハーフウェイの当事者の皆さんに利用していただくのはどうだろう?

 問題は、有料のコミュニティが「どういった価値を提供できるか」である。会費の設定も悩ましいところだし、当WMとの棲み分けや力の配分にも留意しなければならない。結論として「コミュニティ内では、基本的にコラムや記事や書かない」ことにした。ハフコミが提供するのは、ハーフウェイの当事者(クラブ関係者のみならず、選手やボランティアやサポーターも含む)が地域やカテゴリーを超えて交流できる「場」。その「場」に属することが楽しく、有意義に感じられる環境整備に徹することこそ、オーナーである私が第一に果たすべき役割であると定義した。

 このハフコミでは、おふたりの心強い外部アドバイザーをお招きしている。BM(ビジネスマネジメント)では、横浜F・マリノスや清水エスパルスで社長を歴任された、左伴繁雄さん。そしてFM(フィールドマネジメント)では、ジェフユナイテッド千葉や京都サンガF.C.GMを歴任された、祖母井秀隆さん。何ともワクワクさせられる、強力ツートップではないか! ハフコミでは左伴さんや祖母井さんをはじめ、私が信頼するフットボール界の第一人者の皆さんを講師にお招きし、月1回のウェビナーを開催する。

 それ以外にも、オーナーや外部アドバイザーを交えた交流会、共通課題を共に考える分科会、クラブ横断型のプロジェクト、そしてオーナーによる情報共有、などなど。いずれもオンラインで実施していく(月額1500円+税という会費は、十分にペイできるものと自負するが、いかがであろうか)。なお、運営に関わる経費を除いた収益は、そっくりハーフウェイカテゴリーの取材経費に充てさせていただく。知見も人脈も収益も、しっかり回していきながら、このカテゴリーの地位向上に資していく。そこに、ハフコミの存在意義を見出したいと考える次第だ。

(残り 992文字/全文: 2775文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ