【無料公開】ARによる新世代スポーツ「HADO」が目指す世界観 福田浩士(株式会社meleap)✕岡田武史(株式会社今治.夢スポーツ)
今回は「スポーツ×AR(拡張現実)」がテーマ。ARの技術を駆使し、海外からも注目を集めている新世代スポーツ「HADO」を開発した株式会社meleapの福田浩士CEO。そしてFC今治を運営する、株式会社今治.夢スポーツの岡田武史代表取締役会長。このおふたりの対談をお届けする。実は岡田さんは、デロイト トーマツ グループの特任上級顧問という肩書きを持ち、Deloitte Digitalがmeleapのマーケティングパートナーとなったことから、今回の福田さんとの対談が実現した。
HADOとは、頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着することで、エナジーボールを放ったり、シールドを作って防御したりを繰り返しながら得点を競う(鳥山明の人気漫画『ドラゴンボール』のかめはめ波をイメージすると、わかりやすいかもしれない)。eスポーツついては、スポーツの範疇に含めるかどうかで、今でも議論は続いている。しかし、実際にゲームを体験した岡田さんは「これはスポーツだな」と直感。さらには「今治でも展開できないだろうか」と言い出すくらい気に入った様子だ。
対談の模様は、こちらの動画でも確認できるが、当WMではテキスト版として無料公開する。なお、私は完全に現場の裏方に回ったので、MCはデロイト トーマツ コンサルティング スペシャリストの若林理紗さんに担当していただいた。アナウンサーとしての経験豊富な若林さんの仕切りのおかげで、なごやかでありながら引き締まった対談となった。福田さんと岡田さん、そして若林さんをはじめDeloitte Digitalの皆さんには、この場を借りて御礼を申し上げたい。
<目次>
*「これだったら今治でもやる価値はある」
*「ARスポーツで一大産業を作るのも可能」
*「大事なのは自分自身がリスクを冒すこと」
*「いずれはサッカーを超えるスポーツに」
■「これだったら今治でもやる価値はある」
──今回、MCを担当する若林です。さっそくですが、HADOの体験が終わりました。岡田さん、いかがでしたでしょうか?
岡田 思ったより難しかった。もっと簡単にできるというイメージがあったわけ。自分の能力を過信していたね(苦笑)。チャージしていないのに、何度も空打ちをしている。それに気づかない自分が情けなくなったね。それと映像見てもっとショックだったのは、屁っ放り腰なんだよ。福田さんの撃ち方は格好いいんだけど。
福田 チャージをするのが結構、難しいんですよ。倒そうとすると、どうしても焦って手を振ってしまう。しっかりチャージして、貯まった分だけ一気に連射することもできるんです。「いかに待つか」ということも技術ですね。
岡田 でもね、もっと上手くなったら面白くなるだろうなと思いますよ。さっきはシールドを一度も立てられなかったけど、それができるようになったら、きっと面白いよね。
福田 実際、初めての方に1時間くらいやってみると、皆さんかなりお上手になりますよ。けっこういい運動にもなりますし、エンターテイメントとしても楽しめますし。
岡田 俺みたいな年寄りだと、1時間もやったらつらくなると思うよ。
福田 さすがに1時間は難しいかもしれませんが、1ゲームが80秒ですから、小さなお子さんから高齢者の方まで楽しめるようになっています。
岡田 今治なんかだと、お年寄りが多いわけ。そういう人たちが運動したいと思っても、散歩するくらいしかないんだよ。もう少し、スピードを遅くする設定にすれば、けっこうお年寄りにも楽しんでもらえるかもしれないね。
──福田さん。このHADOは、どういう技術が使われているんですか?
福田 「AR」と呼ばれる技術を使っています。プレーヤーの位置を特定して、腕を振った時にエナジーボールを発射するという動作が、ゲームに連動できるようになっています。
岡田 つまり現実の動作に、エナジーボールやシールドといった仮想が乗っかってくるという感じですよね?
福田 そうです。やはりスポーツですので、少しでも精度が落ちると面白くなくなってしまう。ですから、いかに精度を上げていくかということが、技術的にすごく大事なポイントになりますね。
──岡田さんは、この「テクノロジー×スポーツ」というのを、どう思われますか?
岡田 よく「eスポーツ」って言われるけれど、僕らの世代からすると、テレビゲーム的なものは、スポーツとは思えないところがあるんですよ。でも、このHADOを見た時に「これはスポーツだな」と思ったわけ。実際に身体を動かして汗をかいて、心拍数を上がって達成感もあった(笑)。つまり、僕らがやっていることと近しいわけで、これだったら今治でもやる価値はあるんじゃないかと思いましたね。
福田 そもそも、これを作ったのが「自分の身体を拡張する」という発想からでした。リアルの身体、リアルの空間がベースになって、それをいかに拡張するか。ですから、思い切り身体を使うというのがHADOの大前提。その上で、たとえば『ドラゴンボール』のかめはめ波が使えるみたいな、日常ではできない経験ができるようになったら面白いですよね。それが発想の原点でした。