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【無料公開】ARによる新世代スポーツ「HADO」が目指す世界観 福田浩士(株式会社meleap)✕岡田武史(株式会社今治.夢スポーツ)

■「ARスポーツで一大産業を作るのも可能」

──その発想の原点から、福田さんはHADOを新たなスポーツにしていこうとお考えなんですよね?

福田 そうですね。やるからにはテクノロジーを使って、新しいスポーツの市場を作っていきたいなと。モータースポーツがそうだったように、テクノロジーを使ったARスポーツで一大産業を作るのも可能ではないかって考えています。それには理由があって、スマートフォンがこれだけ普及したように、これからはAR用のグラスをみんながかけるようになるかもしれない。そうなれば、いつでもどこでもARスポーツができるわけですよ。

岡田 それこそ日常の中とか、通勤の途中とか?

福田 そうです。駅のホームで卓球もできるようになるわけです。AR用のグラスがあれば、目の前に卓球台があって、電車を待ちながら腕を振っているという(笑)。

岡田 傘でゴルフのスイングをしているみたいな感じね。卓球とかテニスとか、みんなが駅のホームでいろんな動きをしていたら、ちょっと怖いけどね。

福田 今でも皆さん、空き時間があったらスマートフォンを開いて、SNSやゲームをやっているじゃないですか。だったら、身体を動かしたっていいわけですよ。

岡田 まあ、駅だと迷惑がかかるし危ないけれど、公園でみんなそれぞれARスポーツを楽しむというのはありですよね。そうなると、ゴルフ場もいらなくなるな。

福田 もちろん、大自然の中でゴルフをする魅力というものはあります。でも、それとは違って、身近で楽しめる面白さや魅力というのはあると思います。

岡田 この技術をサッカーに置き換えられないかな。たとえばアウェーの試合にはいけないけれど、ホームスタジアムに行ってARのグラスをかければ、ピッチ場にアウェーの試合が映し出されるとか。

福田 ピッチの大きさが同じであれば、実際にできるかもしれないですね。試合がない日でも、お客さんを入れてスタジアムを稼働させることは可能になります。

──福田さんは、このHADOをプロリーグにすることも考えていらっしゃるんですよね?

福田 目的はプロリーグを作ることよりも、スポーツそのものの熱狂をどんどん広げていくことなんですよね。スポーツに接する習慣がない人って、かなり多いと思うんです。そういう人たちが、スポーツの熱狂を体感できるきっかけとして、今考えているのが「アイドルによるHADOリーグ」。

岡田 アイドルにやらせるの? 俺たちじゃダメ(笑)?

福田 もちろん、どういう立場の方に参加していただいても構わないんです。でもアイドルが参加することで、今までスポーツに縁がなかった層が応援するようになるわけですよ。そこで、僕が考えているポイントは「観客参加型の競技」。たとえばですが、応援する熱量に応じて技が強くなる。『ドラゴンボール』で言うと元気玉ですね。

岡田 なるほど。応援されると強くなると。サッカーでもサポーターの応援に後押しされることがあるけれど、応援されることでエネルギーがチャージされるわけね?

福田 そうです。何となく観戦するのではなくて「こいつを勝たせるぞ!」と熱狂する。そういう人たちが一致団結して、コミュニティ同士で戦っていくことで、新たな熱狂を作り出していくというイメージです。

岡田 なるほど。すごい世界だなぁ。もはや僕らの時代とは違うんだね。

福田 僕もサッカー観戦は好きですし、プレーの素晴らしさや人生を懸けているアスリートのドラマに魅力を感じます。そこに、さらに観客が関与できる要素を加えれば、もっと面白くなると思うんですよね。

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