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アルゼンチン帰りの指導者がブランディングにこだわった理由 河内一馬(鎌倉インターナショナルFC監督兼CBO)<2/2>

 

アルゼンチン帰りの指導者がブランディングにこだわった理由 河内一馬(鎌倉インターナショナルFC監督兼CBO)<1/2>

<2/2>目次

*オンラインミーティングでも「できる」という確信

*鎌倉インテルでポッドキャストを始める2つの理由

*マラドーナの突然の死が自分の背中を押してくれた?

オンラインミーティングでも「できる」という確信

──去年は遠く離れたアルゼンチンから、新エンブレムをはじめとするブランディングで貢献してきた河内さんですが、本業である監督の仕事についてはいかがでしょう? 距離的な問題もあって、ほとんどタッチしていなかったんでしょうか?

河内 鎌倉インテルの監督としての仕事は、本当に今年に入ってからですよね。そもそも、現場にいない僕が口出ししても混乱するだけですので、そこはクラブにも理解してもらっていました。その代わり、ゲームの映像はすべて見て、次のシーズンに向けてどういう準備をするべきかというプランニングは、去年のうちから進めていました。

──なるほど。メンバーは今、何人ですか?

河内 僕らはトップチームとセカンドチームがあって、それぞれ27名くらいいるんですけど、シーズンが始まる頃には25名ずつに絞られてくると思います。ちなみに今季はコロナの影響で、5月中旬に開幕することになりそうです。

──そうでしたか。練習は週に何回ですか?

河内 通常は週2回だったんですけど、今はコロナで0回ですね。要は、このカテゴリーの選手はみんな働いているので、平日のトレーニングは夜になるわけです。でも緊急事態宣言だと、20時以降はグラウンドを使わせてもらえないみたいで。そんな状態の中で先日、トレーニングマッチをやることになったんですよ。

──つまり、ぶっつけ本番ということですよね。どうなりました?

河内 それが、思っていたより上手くいったんですよね。試合前日にミーティングだけやって、いきなり本番という状況だったんですけど。それで思ったのが「これからは極限まで無駄を削ぎ落とそう」ということでした。今まで当たり前だったメニューについて「これって本当に意味があるのかな?」ということをひたすら考えるようになったんです。そうすると「実はミーティングで選手に説明すれば、わざわざ練習でやる必要ないな」っていうことが、意外とあることに気がついたんですよね。

──つまりコロナ禍でさまざまな制限がある中、それまで漫然と繰り返されてきたことについて、ひとつひとつ精査するようになったということですよね?

河内 そういうことですね。たとえばの話、練習場所がフットサルコートになることが現状はほとんどで、狭いから「戦術的なトレーニング」はリアリティを持ってできません。でも、自分たちが実現させたいコンセプトの落とし込みであれば、限られた空間の中でも、ある程度はできるんですよね。

 じゃあ、戦術的なトレーニングをいつやるのか? それはゲームしかないので、ゲームの前に戦術に特化したミーティングをすることにしました。「こういう場所に立ってくれ」とか「こういう状況だったらこういうプレーをしてくれ」とか、順序立てて説明すれば、選手はこちらのイメージどおりのゲームを見せてくれるんです。これは発見でしたね。

──選手のインテリジェンスの問題もあるでしょうけれど、河内さんの「伝える力」のハンパなさというのもあるんじゃないですかね。あの説得力のあるnoteを読んでいると、そう感じます。ちなみに、ミーティングはオンラインですか?

河内 基本的にオンラインです。チーム始動の時だけ、みんなに集まってもらって1時間半くらい直接話をしました。ミーティングとしては長いですが、全員が最低限共有しなければならないことをしっかり伝えて、そのあとはすべてオンラインですね。

──職場がバラバラな社会人のクラブチームだと、むしろオンラインのほうがいいのかもしれないですね。

河内 かもしれないですね。実際、ミーティングや練習に参加できない選手って、仕事の都合で毎回いるんですよ。そういう選手には、映像や資料をすべて渡して、誰ひとり置いてけぼりにならないようにしています。今のところ、それで上手く回っていますね。

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