宇都宮徹壱ウェブマガジン

サッカーのオンラインサロンに旨味はあるか? ハフコミを運営するmusic.jpの戦略<2/2>

サッカーのオンラインサロンに旨味はあるか? ハフコミを運営するmusic.jpの戦略<1/2>

<2/2>目次

*なぜ「ハーフウェイカテゴリー」だったのか?

*安彦孝真、星原健太、大竹洋平、蹴球メガネーズ

*クローズドなコミュニティならではの仲間意識

トップ写真提供:music.jpオンラインサロン

なぜ「ハーフウェイカテゴリー」だったのか?

──ここからは、サッカー業界の人間がオンラインサロンを開設するメリットについて、アイデア出しも含めたディスカッションをしていきたいと思います。music.jpとしては現在、どのようなアイデアやビジョンをお持ちでしょうか?

岡澤 前提の部分で申し上げましたが、オンラインサロンはクローズドなコミュニティであるがゆえに、オープンな場では得られないような情報の発信や受信が可能となります。music.jp オンラインサロンでは、ハフコミ以外のサッカー関係者の方々にも、プラットフォームのご提供を含むサポートをさせていただいています。幸い、非常にメンバーの満足度は高いように感じております。

 一口でサッカー業界といっても、会員さんに提供できる価値というものはさまざまだと思っています。ハフコミで言えば、もしかするとオーナーである宇都宮さんの活動に共感して支援や参加を表明する、あるいは今後立ち上がるプロジェクトに関わることで、何かを達成したいという方も現れるのではないかという期待もあります。ただし、サロンの価値提供というものは、単純に「これだ!」というものはないとも思っています。

嘉山 私のほうからも補足させていただきますと、クローズドの状態であることでメンバー間での仲間意識のような結束感が高まるのは、ユーザーの皆様だけではなくオーナーの方にもメリットを感じていただけるようです。

──なるほど。そうした中で、選手でもなければ有名人でもない宇都宮徹壱に、music.jp オンラインサロンは何を期待してオファーをされたのでしょうか?

岡澤 宇都宮さんにお声がけさせていただいたのは、長年にわたりサッカーに関わってこられてきたジャーナリストの中で、私自身もずっと読者でありましたし、この業界への影響力をお持ちであろうというのが、まずありました。それと宇都宮さんの場合、特定のクラブへの関わりが薄いということ。ひとつのクラブで限定したお仕事をされている方ですと、そのクラブのサポーターしか集まってこないですよね。宇都宮さんの場合、さまざまなカテゴリーや地域とのつながりがあることも、ユニークだと思っていました。

──私の場合、ひとつのクラブの番記者ができない性分でして(苦笑)、なおかつ露出の多いJ1クラブは自分が取材しなくても誰かが書くだろうという思いも常にありました。ですので、ずっとカテゴリーを縦断したり地域を横断したりしているうちに、気がつけばいろんな人脈が生まれていたという感じですね。ならば、取材を通して生まれたつながりを、もっとサッカー界に還元できないだろうか? そう考えた時に、岡澤さんからオンラインサロンのお話をいただいたと。今にして思えば、非常に絶妙なタイミングでした。

岡澤 宇都宮さんの場合、歴代のJリーグチェアマンやJFAの会長さん、そうかと思えば地域リーグ以下のクラブの社長さんといった、さまざまな人たちに取材活動をされています。そういった方がサロンを立ち上げたら、いろんな方に共感していただけるコミュニティが生まれるのではないかという期待感はありました。

──岡澤さんと初めて、打ち合わせをさせていただいたのが、去年の11月でしたよね。その後、ディスカッションを重ねていくうちに、ハーフウェイカテゴリーにフォーカスするというハフコミのアイデアが生まれるのですが、これは当初は予想していなかった?

岡澤 当初、その発想はなかったですね。ただ、どうやってコミュニティを作っていくかという部分では、特定の分野にフォーカスした方がいいのではないかとは思っていました。そうしたうちに、宇都宮さんとディスカッションさせていただく中で、特に印象的だったのが「Jリーグだけではなくハーフウェイカテゴリーも盛り上がらないと、日本サッカー界の活性化にはつながらない」というお話でした。そこから私自身も、このカテゴリーに関心を抱くようになりましたね。

 それともうひとつ、宇都宮さんから教えていただいたこととして「Jリーグに所属しているクラブは、コミュニケーションや人材の交流の活発で、ノウハウやナレッジの共有をしやすい」というのがありました。逆にJFL以下のカテゴリーになると、なかなかそれが難しい。だからこそ、オンラインによるコミュニティには需要があるのではないかと。これについても私自身「なるほど!」と感じましたね。

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