現役GMが教えるJクラブ経営のリアルな見方(J論)

宇都宮徹壱ウェブマガジン

ヴァンくん&フォーレちゃんと一緒だからできること ヴァンフォーレ甲府、グッズ担当の仕事術<2/2>

ヴァンくん&フォーレちゃんと一緒だからできること ヴァンフォーレ甲府、グッズ担当の仕事術<1/2>

<2/2>目次

*地元なのに「ヴァンフォーレの試合は見たことなかった」

*「この子たちの素晴らしさをどんどん発信していこう!」

*ヴァンくんの「パンイチ」はどうして定着したのか?

地元なのに「ヴァンフォーレの試合は見たことなかった」

──先ほどからお話を伺っていて気づいたんですが、Jクラブのグッズ担当というのは女性の方が圧倒的に多いんでしょうか?

山地 もちろん男性の方もいらっしゃいますけれど、私の周りは女性が多いですね。それと最近は、20代から30代の若い方が増えている印象です。私の場合、たまたま新卒で入ってチケット担当がスタートでしたけど、そもそも当時は新卒でJクラブに入れてもらえること自体、珍しかったですからね。

──最近のJクラブは、若い人材を積極的に登用しているイメージはありますよね。そこでぜひ、山地さんが甲府で働くことになった経緯についても、お聞きしたいと思います。実は今回の取材にあたり、山地さんの経歴を調べてみたんですが、山梨県の陸上競技の記録で、いくつかお名前がヒットしたんですよね。けっこうガチで、陸上をやられていました?

山地 そんなにすごい記録を出していたわけではないですが(笑)、いちおう真面目にやっていました。200mと400m、そして400mのハードルでしたね。中学時代はバスケをやりながら、スポットで陸上の大会に出ていたんですけど、高校は陸上が強いところに進学したので、それなりにガチでした。

──そして筑波大に進学するわけですが、陸上ではなく水泳部のマネージャーだったそうですね? きっかけは?

山地 新歓での勧誘でしたね。焼き肉をごちそうになったんですが、そこにいた4年生が北京五輪の代表選考会の直前だったんですよ。しかも「北島康介と代表の枠を争って勝ってくるから」みたいなことを言っていて、めちゃくちゃ格好いいなって(笑)。それで、その選考会に何も知らずに行ったら、あまりのガチさにちょっと引いてしまったんです。

──そりゃ、そうでしょう! 北島康介と日本代表の座を争っているわけですから。それでどうなりました?

山地 いったんはお断りしようと思ったんです。でも当時、水泳部はマネージャーがひとりしかいなくて、その方も選考会が終わったら辞めてしまうかもしれなかったんです。そうなると、練習も回っていかないですよね。むしろ、スポーツに命懸けで取り組んでいる人たちを身近に感じながら、自分に何かできないだろうかって思った時に「私がこの人たちを支えたい!」と思い決断しました。

──水泳部のマネージャー経験というのは、今のお仕事にどう生きていると思います?

山地 何かを頑張っている人のために、自分が一生懸命になれるというところですかね。たとえばサポーターさんのために、自分に何ができるだろうかって考えて、それを実行にしていくことってパワーがいると思うんですよ。そういう部分だったり、あとは人間力とか忍耐力だったり。そういったものは、けっこうあの頃に培われていったように感じています。

──大学時代の山地さんは、将来どんな職業に就きたいと考えていました?

山地 学部は比較文化学類だったんですが、自分の好きな分野を研究できる場所だったので、自然とスポーツ方面に目が向くようになりましたね。ただし就活は苦戦続きで、なかなかスポーツ系の仕事が見つからなくて焦っていた時に、たまたま会長の海野(一幸)が外部講師に来ていて、それで「まずはインターンをしてみない?」って誘われて。

──つまり地元のクラブから誘われたわけですよね? すごくラッキーだと思うのですが。

山地 でも私、それまでヴァンフォーレの試合って、一度も見たことがなかったんですよ。もちろん、ヴァンフォーレのことは知っていましたし、小瀬には陸上の試合で何度も行っていました。ただし、Jリーグの試合があると陸上の試合が1日削られて、次の週にまたいで試合をしなければならなかったんです。ですから当時は「何だよ、ヴァンフォーレ。こっちだって試合なんだよ!」って思ったりして(笑)。

──そのヴァンフォーレで将来、働くことになるんだから、本当に人生わからないものですよね(笑)。

山地 本当ですよね(笑)。それでインターンになって、初めてヴァンフォーレのホームゲームがある小瀬に行った時に驚きました。たくさんのエンブレムで飾られたスタジアムに、たくさんの地元のファンやサポーターが集まっていて、みんながタオマフを振りながら応援している。それまで知らなかったスタジアムの風景に、衝撃を受けましたね。「なんで私、ヴァンフォーレのことを知らなかったんだろう」って思って。それで結局、このクラブにお世話になることとなりました。

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