宇都宮徹壱ウェブマガジン

FC今治の「夢スタを超えている」? 栃木シティFCの新スタを探訪する

 本題に入る前に、今月25日に4都府県に発出された緊急事態宣言について、個人的に思うところを記す。決定を受けてJリーグは、東京、大阪、京都、兵庫で行われる11試合を無観客の「リモートマッチ」とすることを決定した。緊急事態宣言期間は5月11日まで続くため、GW中に予定されていたFC東京対横浜F・マリノス(5月1日)やセレッソとガンバの大阪ダービー(2日)といった好カードも無観客。ファンやサポーターはもちろん、準備をしていたクラブ関係者の無念を思うと、いたたまれない思いでいっぱいである。

 決定に先立つ4月19日、Jリーグのメディアブリーフィングで村井満チェアマンは「最終的には行政に従う」としながらも、「去年と同じように『緊急事態宣言イコール無観客』という話ではまったくない」との見解を示していた。その理由として「1年前とは検査体制も違う。Jリーグでは有観客試合が1000を超えたが、観客席でのクラスター発生は1件もない」としていた。この実績を積み上げるために、Jリーグのみならず、ファンやサポーター、さらには選手やスタッフが、どれだけの努力を払ったことか。

 それだけではない。Jリーグは1月4日のルヴァンカップ決勝以降も、コロナ対策のための二酸化炭素濃度を測定する実証実験を行っており、得られたデータは東京オリパラの組織委員会にも共有されていると聞く。自分たちの興行で社会に迷惑をかけない努力を徹底し、その上でTOKYO2020開催実現のための貢献を惜しまなかったJリーグ。対する政府や自治体は、この1年での教訓をどれだけコロナ対策に生かしてきたというのか。本当はJリーグに、もっとそうした主張をしてほしい。そう考えるのは、決して私だけではないだろう。

 さて、本題。先週の水曜から土曜にかけて、栃木県で2試合を取材した。目的は、昨年に完成した2つの新スタジアム、カンセキスタジアムとちぎとCITY FOOTBALL STATION(シティ・フットボール・ステーション。以下、CFS)を見ておくことであった。前者についてはこちらに書いたとおり。しかし後者については、ここでホームゲームを行う栃木シティFCが関東リーグ1部ということもあり、あまり大きな話題になっていない。FC今治の「夢スタを超えている」CFSについて、ここはハフコミ主催者として写真多めで紹介することにしたい。

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