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米独目線で考える「スーパーリーグ頓挫の理由」 中村武彦✕中野吉之伴スペシャル対談<1/2>

 わずか48時間で空中分解となってしまった、欧州スーパーリーグ構想。4月19日(日本時間)の衝撃的な発表から3週間以上が経過し、今ではサッカーファンの間でも語られることがめっきり少なくなったように感じる。忘却の彼方に消えていく前に、当WMとしてはきちんと検証しておくべきであろう。具体的には、以下の4点。

・スーパーリーグ構想は、なぜあのタイミングで発表されたのか?

・スーパーリーグ構想は、なぜあっけなく頓挫してしまったのか?

・スーパーリーグ構想は、どのような背景から具体化したのか?

・スーパーリーグ構想は「Jプレミア化」の教訓となり得るか?

 これらを検証するために重視したのが「現地の空気感」。すなわち世界のスポーツビジネスを牽引するアメリカ、そしてビジネス以上にフットボール文化を重視するドイツである。そこで今回は、アメリカはニューヨークからBLUE UNITED CORPORATION代表の中村武彦さん、そしてドイツはフライブルクから『フッスバルラボ』中野吉之伴さんにお声がけして、スーパーリーグについてのスペシャル対談を実施することとなった。

 スーパーリーグ構想については、さまざまな報道があったが、概要と背景についてはこちらのnoteがよくまとまっている。当WMとしては久々に欧州サッカーにフォーカスするが、中村さんと中野さんの対談を通して私自身も大変勉強になった。経済と文化との折り合いは、国やジャンルを問わず、これからの時代の重要なテーマとなるのは必定。その意味でも、より多くの方々にお読みいただければ幸いである。(収録日:2021年4月28日)

<1/2>目次

*「何か裏があるのでは?」と勘ぐりたくなるお粗末さ

*ドイツ勢がスーパーリーグ構想に賛同しなかった理由

*若者たちにとって「長すぎるゲーム」はオワコンか?

「何か裏があるのでは?」と勘ぐりたくなるお粗末さ

──本題に入る前に、中村さんと中野さんに簡単な自己紹介と近況を伺いたいと思います。まずはニューヨークの中村さんから。

中村 BLUE UNITED CORPORATION代表の中村武彦です。2002年に学生としてこちらに来まして、縁あってMLSFCバルセロナで働かせていただく機会を得ることができました。ずっとアメリカのスポーツビジネスに関わらせていただいたのですが、2015年に海外事業を軸にさまざまな仕事ができればいいなと思って、現在の会社を立ち上げて今年で6年になります。これまでは海外のコンテンツを日本に売る仕事がメインでしたが、今後は日本のサッカーを海外に売っていくところでも貢献できたらと考えております。

中野 中野吉之伴です。ドイツに来て21年目になります。育成指導をする傍ら、フリーのライターとしてもドイツを含むヨーロッパの記事を書いています。指導者としては、フライブルガーFCという地元の古豪クラブの育成に長く携わっています。今はU-8からU-11までの統括部長で、来季はU-12の監督と兼任することになっています。

──ありがとうございます。今回は欧州スーパーカップがテーマなのですが、発表からほぼ48時間で急速にしぼんでしまっている状況について、それぞれの見立てを伺いたいと思います。今度は中野さんから。

中野 スーパーリーグ構想そのものは、突発的に出てきたものではなくて、以前からうわさされていたものでしたし、水面下でもずっと動いていると聞いていました。ですので、発表があった時「やっとここまでこぎつけたか」というのが最初の印象です。しかも、参加する12クラブの名前が発表されていたので、しっかりした準備と覚悟をもってUEFAFIFAと交渉するんだなって、その時は思っていました。

 ただ、それだけ大掛かりな発表をしたわりには、自分たちのファンやサポーターには事前の説明が一切なかったんですよね。それは現場の選手や監督についても同様で、彼らは報道で知ったくらいでしたから。こういう重要な発表って、まずは自分たちのファンやサポーター、そしてクラブに関わる選手やスタッフに理解してもらってから発表するというのが、筋だと思うんですよ。それがなかったために大反発を受けて、撤回せざるを得なくなったという流れだったと考えています。

──中村さんはいかがでしょうか?

中村 まったく同感ですね。類似した話は何年も前からあったんですが、何ら前触れもなく突然の発表だったのには驚きがありました。一方で中野さんが指摘するように、監督や選手も何も聞かされていなかったというところに、僕も違和感を覚えました。そもそも参加表明したクラブのオーナーたちは、他分野の事業で成功している人ばかりです。それなのに、こんなに唐突で段取りを無視した発表をして、すぐに撤回するというのはおかしい。「実は何か裏があるんじゃないか」と勘ぐりたくなるくらいです(苦笑)。

──要するに、拙速に過ぎたということですよね。なぜこのタイミングだったのか、心当たりはありますか?

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