宇都宮徹壱ウェブマガジン

フットボールの白地図から『蹴日本紀行』へ 7月下旬に発売予定の写真集をチラッと紹介

 嵐のような日々が続いている。

 日記にも書いたとおり、かねてより準備を進めていた写真集の案件が、7月下旬に発売されることが決まり、先週から「勝負の3週間」がスタートした。おりしも今月は、日本代表の試合が目白押し。ヨーロッパではユーロ2020が、そして南米ではコパ・アメリカが始まった。けれども代表戦は、執筆の合間にチラ見する程度。あとはひたすら、執筆、執筆、執筆あるのみである。

 これまで11冊の単著を世に送り出してきた私だが、12冊目となる写真集はこれまでとまったく異なるプロセスでの執筆となった。そのメソッドの模索に時間がかかってしまったが、今ではストレスなく作業を進めることができているため、執筆の時間の捻出と集中力の維持が課題となっている。

 写真集のタイトルは『蹴日本紀行 47都道府県のフットボールのある風景』。サブタイトルにピンときた方もいるだろうが、ベースとなっているのは昨年11月からnoteで書き進めてきた「フットボールの白地図」。47都道府県のフットボールと風物について、現地で撮影された写真を絡めながら発信してきたものを、一冊の写真集としてまとめ上げる。それが現在、私が取り組んでいる作業である。

 各都道府県のコラムは1800字目安で、これが47本。それぞれ8~10点の写真が入る。これ以外にもコラムが5本、まえがきとあとがき。これらにも、もちろん写真が入る。テキストがおよそ10万字で、写真点数は切り抜きも含めて500点以上。これらをひとつひとつ、一定以上のクオリティを保ちながらまとめ上げる。

 ほとんどのテキストは、すでにnoteに書かれているが、ただ版面に流し込めばいいという話でもない。テイストの方向性も文字数もバラバラだし、表記ゆれもかなりある。それらに統一感を持たせ、それぞれにご当地感とフットボールネタをふんだんに盛り込み、しかも格調高く仕上げていく。すべての都道府県、それぞれに思い入れを持つ読者がいるので、どれひとつとして手を抜くわけにはいかない。

 加えて今回の作品は、すべてのページに写真と文章があり、両者が響き合うような構成を意図している。ゆえに、ただWordでテキストを埋めていけばいい、という話でもない。あれこれ試行錯誤した末にたどり着いたのが、noteに写真を貼り付けてテキストを埋めながら調整していく方法。縦書きと横書きの違いこそあるものの、これが最も効率的で仕上がりのイメージもしやすいことに気がついた。

 ここから先は、パズルのピースを埋める作業である。大変だけど、意外と楽しい。そしてすべてのピースが埋まった時、私のこれまでの仕事の集大成となる『蹴日本紀行』が完成するはずだ。今回は47都道府県の中から「茨城県」と「京都府」の章を、WM会員の皆さん限定でチラ見せすることにしたい。どちらも「白地図」で書いたものとは、内容もテイストもかなり異なっていることを、最後に申し添えておく。

(残り 3622文字/全文: 4831文字)

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