【サッカー人気1位】川端暁彦と五輪GL総括「予定外の事も良…

宇都宮徹壱ウェブマガジン

秋田と愛媛の経験がもたらした「大阪の奇跡」 間瀬秀一(モンゴル代表監督)<1/2>

 先週、ワールドカップ・アジア最終予選の組み合わせが発表された。2次予選を突破した12チームは、2グループに振り分けられている。

【グループA】イラン、韓国、UAE、イラク、シリア、レバノン

【グループB】日本、オーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナム

 順当な顔ぶれのように見えて、最近の最終予選の常連だったウズベキスタンやヨルダン、そして日本と同組で2位のタジキスタンの姿はない。これらの国々は来年にカタールで開催される、ワールドカップ出場の道は絶たれたものの、2023年に中国で開催されるアジアカップの3次予選には勝ち残っている。WMの読者はご存じのとおり、今回のワールドカップ予選は、アジアカップの予選も兼ねているからだ。

 アジアカップの出場枠は24。このうち開催国の中国を含む13枠がすでに埋まっており、残り11枠を3次予選に進出する22チームで争う。この中には、2次予選で日本に014で敗れた、モンゴル代表も含まれている。このモンゴルを4月から率いているのが、私が「オシムの一番弟子」と命名した間瀬秀一さん。間瀬さんには、モンゴル代表監督就任直後、当WMにおいて緊急インタビューをしている(参照)

 就任発表から2カ月の6月7日、間瀬監督率いるモンゴル代表は、大阪で行われたキルギス戦に10で勝利。日本のサッカーファンにはピンと来ないかもしれないが、FIFAランキングではるか上位のキルギスに対し、モンゴルが勝利したことは「大阪の奇跡」と呼ぶべき快挙であった。しかも間瀬さんはモンゴルに渡航できなかったため、試合の4日前に来日したチームと初めて合流し、ほぼぶっつけ本番でキルギス戦に臨んだのである。

 日本のサッカーメディアでは、ほとんど語られることのない、モンゴルが大阪で起こした奇跡。それは、いかにして実現したのか? 間瀬さんへのインタビューで判明したのは、彼がブラウブリッツ秋田と愛媛FCの監督時代に経験したことが、初めての国際試合でもしっかり生かされていたという事実である。これは、単なるマニアックなサッカーの話題ではない。むしろJリーグファンにこそ、読んでいただきたい内容となっている。(2021年6月23日、オンラインにて取材。トップ写真はAKASAKA氏提供)

<1/2>目次

*モンゴルがアジアカップ3次予選に進出できた理由

*014で敗れた日本戦で見つけた3人の選手たち

*コンディション調整や戦術ミーティングはリモートで

モンゴルがアジアカップ3次予選に進出できた理由

──今日はよろしくお願いします。モンゴルに出発する日は決まりましたか?

間瀬 モンゴルへの渡航は7月21日になりそうです。新型コロナウイルスのワクチンを接種してからの渡航を希望しています。すでに1回目のファイザーのワクチンを打っていて、2回目が7月2日の予定です。免疫が付く期間などを考えて、渡航できるのが7月21日ということになります。

──無事に渡航できることを祈ります。さっそくですが、モンゴル代表のアジアカップ3次予選決定、おめでとうございます! これは6月7日、大阪で行われたワールドカップ・アジア2次予選で、キルギスに勝利した結果であるわけですが、試合直後にはこの快挙には気付かなかったようですね?

間瀬 気付かなかったし、正直、考えもしなかったんですよ。キルギスと戦う前も、戦っている間も、戦いを終えたあとも。それは僕だけではなくて選手も、さらにはモンゴルサッカー協会の関係者も、まったく同じだったと思います。試合前に僕が考えていたのは、何とか(アジアカップ予選の)プレーオフに回って、ホーム&アウェーに勝利して3次予選に進出することでした。そしてそれは、僕がモンゴル代表の監督に就任する時から、求められていたことなんですね。

──無理もないですよね。キルギス戦を戦う前は、グループの最下位でしたから。

間瀬 ダントツの最下位ですよ(笑)。ですから目前のキルギス戦よりも、そのあとのプレーオフの準備をすることも考えました。とはいえ、やっぱりわれわれ現場の人間は、目の前の試合のことがすべてなんですよね。つまり「格上のキルギスに勝つ」ということです。

──日本はFIFAランキング28位ですが、キルギスは99位、モンゴルは192位。普通に考えれば、絶望的な差ですよ。そのキルギスに、ロースコアとはいえ10で勝利してモンゴルの4位が確定。2次予選の8グループの4位の中で、3番目の成績でプレーオフなしでの3次予選進出を決めます。ものすごい逆転劇ですよね。

間瀬 整理して解説すると、確かにキルギスに勝利して勝ち点3を積み上げたのは大きかったんですが、それ以外にもいくつかの要因があったんです。宇都宮さんも取材されていましたが、モンゴルはフクアリでの日本戦で014で敗れているんですね。でも4位だったミャンマーも、日本に010と大量失点しているので、それで少しだけ4位との差が縮まりました。

 もちろん、それだけではないです。僕たちに敗れたキルギスが、そのあとミャンマーと対戦して81で勝利しているんですね。そこでミャンマーとモンゴルの順位が入れ替わったんです。さらに他のグループでは、DPR Koreaが途中で辞退した。それによって、すでにDPR Koreaと試合をしたチームは、その分の勝ち点がなくなったんですね。

──なるほど! 北朝鮮辞退の影響が、ここで出ていたとは知りませんでした。

間瀬 結局、DPR Koreaはグループの最下位扱いになって、各グループの4位は5位との勝ち点をカウントしないで順位を決めることになったらしいです。でも、他のグループの4位は、最下位チームくらいしか勝っていないんですよね。そうした中で、モンゴルは自分よりも上位のキルギスに勝った。ですから、あの1勝が本当に大きかったんです。

(残り 3407文字/全文: 5800文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック
1 2 3
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ