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33歳の日本人起業家がルーマニアのクラブを買った理由 板東隼平(ACSプログレス・エゼリシュ代表)<2/2>

33歳の日本人起業家がルーマニアのクラブを買った理由 板東隼平(ACSプログレス・エゼリシュ代表)<1/2>

<2/2>目次

*グルノーブル、サバデル、ホルンの「失敗」から得た結論

*人口1400人のクラブがヨーロッパリーグに出場する?

*東南アジアの人々にとって「2番目に気になるクラブ」に

グルノーブル、サバデル、ホルンの「失敗」から得た結論

──ここでようやく、ルーマニア3部のACSプログレス・エゼリシュの話につながってくるわけですが、買い取ろうと決断したのは今年の2月だそうですね。そもそも板東さん、ルーマニアに行ったことは?

板東 ないです。8月にはルーマニアに拠点を移す予定ですが。現時点では一度も行ったことのない国のクラブ、さらに言えば一度も会ったことのない人たちのために、マレーシアからお金を送り続けているわけです(笑)。

──買収金額について「それほど高くはなかった」ということですが、それでもクラブを維持するための経費を捻出するのは大変だと思います。たとえば現地の人間と共同経営にするという考えはなかったのでしょうか?

板東 実は日本人が、海外クラブの経営をした事例を調べてみたんです。フランスのグルノーブルとか、スペイン2部のサバデルとか、あとは本田圭佑が手放したオーストリアのホルンとか。いずれも成功したとは言い難いですよね。僕なりの結論としては「クラブの経営権を100%取らないとあかんな」ということ。要は「オーナーシップ30%で参加します」とかだと、現地の人に都合よくお金を吸い取られるリスクがあるんですよ。ですから「100%の権利を譲ってくれるのなら買ってもいい」とはっきり伝えました。

──なるほど、そこは絶対に譲れない条件だったんですね。その条件が受け入れられてから、即決ですか?

板東 即決です。向こうも学校の先生なので、これ以上のビジネスプランもなかったですし、選手の給料も支払えない状況でした。自立したプロクラブとして、当面の間は人件費を支払い続けなければならないわけですが、本業である程度のお金は確保できていたので「これなら十分に払っていけるわ」と思って即決でした。

──ということは、ルーマニアに拠点を移すことも?

板東 それも即決です。「一度、視察に行ってから」ではなく、家族全員で移住します。「向こうで普通に人が暮らしているんやし、同じ人間やから何とでもなるやろ」という発想なんですよね(笑)。息子も現地の学校に通学させる予定です。飼っている犬については、いろいろ検査手続きがあるんですけど、人間だけならぜんぜん問題ないですね(笑)。

──エゼリシュという村は、首都のブカレストからどれくらいの距離でしょうか?

板東 車で7~8時間くらいみたいです。どちらかというと、ティミショアラのほうが近いですね。西の方にある、ルーマニア革命の発火点となった都市です。最近は「ルーマニア経済のショウケース」「東欧のシリコンバレー」とか言われていて、アメリカのIT企業がどんどん進出して支社ができているんですよ。

──そうなんですか? それはまったく知りませんでした。

板東 日本ではまったくと言っていいほど報じられていないですからね。実際、日系企業だけ進出が遅れているんですよ。でも、ルーマニアはもともと人件費が安い上に、IT系の優秀な人材がどんどん集まっている。つまり、ヨーロッパでビジネスをする足がかりとして、非常に理想的な環境なんですよね。

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